2017 Fiscal Year Research-status Report
膵癌術後出血に対する止血術における肝血流温存を目的とした灌流システムの開発
Project/Area Number |
16K10364
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
古井 滋 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (40114631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 浩史 帝京大学, 医学部, 教授 (20324311)
棚橋 裕吉 岐阜大学, 医学部, 助手 (40724563)
大澤 まりえ 帝京大学, 医学部, 助手 (10773161) [Withdrawn]
山本 敬洋 帝京大学, 医学部, 助手 (30621924)
五島 聡 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (90402205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈塞栓術 / IVR / 術後出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵頭十二指腸切除(Pancreatoduodenectomy; PD)後出血を来した際には死亡率20-50%と致死的である.近年,PD術後の術後出血に対する治療のひとつとして動脈塞栓術が行われているが塞栓術後に致死的な合併症(肝不全)を来たしうる.そこで,我々は,止血しながらかつ肝血流を温存するための灌流システムを開発し,重篤な合併症)を回避し安全・確実な治療法を開発することを目的とした. 研究の第一段階として,in virtoテストを行った.実験1:温調済疑似血液内に脱血用のシースを挿入し,血液回路と接続する.ポンプを介して,留置カテーテルに接続し,カテーテル先端からの実測流量値(ml/min)とカテーテル入口部分圧(kPa)を計測した.シースとカテーテルは5Frと6Fr,ポンプ設定流量は50,100,150,200,250,300ml/minとした.実験2:過去の報告で側孔付きカテーテルの側孔を大動脈内に留置して送血する手法があり,これを想定した実験を行った.側孔を拍動する閉鎖空間内に位置し,内部圧力を60,90,120mmHgとし実測流量値を計測した.【結果1】カテーテル先端からの実測流量値は5Frカテーテルでは順に35,71,106,138,163,174ml/minであり,ポンプ設定が250ml/min以上でプラトーになる傾向があった.6Frカテーテルでは300ml/minまで直線的に上昇した.カテーテル入口部分圧はポンプ設定300ml/min の場合,5Frで275kPa,6Frで170kPaと5Frの方が高かった.【結果2】内部圧力を60,90,120mmHgに設定した場合の実測流量値は,順に32,48,56ml/minであった.固有肝動脈へ送血するには側孔付きカテーテルよりもポンプで送血した方が血流流量を確保できた.本研究の成果は2017年5月に開催される第46会日本IVR学会総会にて報告済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の第二段階として,豚を用いたin vivo実験を行った。実験:豚の両側大腿動脈にシースを挿入した。送血路として、豚の右大腿動脈を介して、固有肝動脈に6Frカテーテルを留置し、脱血路として、左大腿動脈に6Frカテーテルを挿入した。ポンプを介して、脱血路を送血路の留置カテーテルに接続した。金属コイル塞栓による総肝動脈血流遮断後、pressure wireを用いてカテーテル先端圧(kPa)を計測した。同時に、左内頚動脈に挿入したカテーテルから大動脈圧を測定した。カテーテル先端圧を大動脈圧で割った値を固有肝動脈圧インデックスと定義した。シースとカテーテルは6Fr、ポンプ設定流量は0, 50, 100, 150, 200, 250, 300 ml/minとした。【結果】固有肝動脈インデックスは、0.38, 0.48, 0.72, 0.85, 0.9, 0.93であり、ポンプ設定流量が150ml/min以上でプラトーになる傾向があった。ポンプ設定流量と固有肝動脈圧インデックスの関係は、次の計算式で表された。固有肝動脈圧インデックス=0.0020×ポンプ設定流量+0.44。この計算式を用いて、過去に報告されている側孔付きカテーテルの側孔を大動脈内に留置して送血する手法を用いた場合の想定流量を計算すると、固有肝動脈インデックスは0.25となった。ポンプを用いて固有肝動脈へ送血する方法は、ポンプ設定圧250ml/min以上で十分な血流量を維持することができた。また、固有肝動脈へ送血するには側孔付きカテーテルよりもポンプで送血した方が血流流量を確保できた。本研究の成果は2018年9月に開催される欧州IVR学会総会にて報告予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、固有肝動脈へ留置した6Frカテーテルからポンプを用いて送血する方法は、十分な血流を維持できることが分かった。また、この方法は、過去に報告されている側孔付きカテーテルを大動脈に留置して送血する方法より優れていることが分かった。これらの成果を論文化して、発表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)購入予定としてはデータ解析用のパソコンおよび関連ソフトが現時点では必要無かったために次年度使用額が生じた. (使用計画)本年度はパソコン周辺機器の購入を予定している.
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Research Products
(5 results)