2016 Fiscal Year Research-status Report
新規ステント・フィルターを用いた重症静脈血栓塞栓症に対するハイブリッドIVR治療
Project/Area Number |
16K10365
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田島 廣之 日本医科大学, 医学部, 教授 (00188244)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 静脈血栓塞栓症 / Intervention / Interventiona Radiology / Thrombectomy / Aspiration |
Outline of Annual Research Achievements |
重症静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)への期待はきわめて大きいが、いまだ標準治療として評価されるには至っていない。申請者は、本領域におけるハイブリッドIVR治療システムを考案しこれまで研究を重ねてきたが、それに伴い新たな問題点も明らかになってきている。本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにある。具体的には、ステント・フィルターを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。 本年度はまず、安全性に特に留意した特注血管シ-スと、それに適合する大口径の特注血栓破砕・吸引デバイスを設計、作成した。具体的には、ステント型フィルターの広径化を計画した。左右主肺動脈―中間肺動脈幹レベルの血管径から、デバイス径15㎜、デバイス長70㎜を基本とした。そして、現有の血管ファント-ムを用い、実際に作成した血栓に対し、破砕・吸引実験を行った。これにより、重症静脈血栓塞栓症に対するハイブリッドIVR治療に最も適したデバイス・システムを決定することができた。 それと同時に、重症静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)そのものが十分な評価を得ていない現状につき深く考察した。技術的標準化が進んでいない点、メタ解析が十分でない点、前向き研究がほとんどない点、超重症患者への治療成績が明らかでない点、長期成績が全く報告されていない点などが挙げられた。これらを鑑み、本年度は特に我々の施設における長期成績につきretrospectiveに解析することとしたが、順調に研究が進み、10年生存率が外科的血栓摘除術に匹敵することを明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重症静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)への期待はきわめて大きいが、いまだ標準治療として評価されるには至っていない。申請者は、本領域におけるハイブリッドIVR治療システムを考案しこれまで研究を重ねてきた。本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにある。具体的には、ステント・フィルターを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。 本年度はまず、安全性に特に留意した特注血管シ-スと、それに適合する大口径の特注血栓破砕・吸引デバイスを設計、作成した。具体的には、ステント型フィルターの広径化を計画した。左右主肺動脈―中間肺動脈幹レベルの血管径から、デバイス径15㎜、デバイス長70㎜を基本とした。そして、現有の血管ファント-ムを用い、実際に作成した血栓に対し、破砕・吸引実験を行った。これにより、重症静脈血栓塞栓症に対するハイブリッドIVR治療に最も適したデバイス・システムを決定することができた。それと同時に、重症静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)そのものが十分な評価を得ていない現状につき考察した。技術的標準化が進んでいない点、メタ解析が十分でない点、前向き研究がほとんどない点、超重症患者への治療成績が明らかでない点、長期成績が全く報告されていない点などが挙げられた。これらを鑑み、本年度は特に我々の施設における長期成績につきretrospectiveに解析することとし、一定の成果を上げることができた。その一部については、学会/研究会で発表した。 研究は順調に進行したが、本年度中には、動物実験に進むことはできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物実験に関して、本学倫理委員会に本計画を提出し、承認を得る。動物実験は、動物実験棟にて行う。中型動物(ブタモデル)の使用が、臨床応用を考えると最も適している。ブタはエックス線透視装置上で背臥位に固定し、全身麻酔により呼吸管理をおこなう。左右鼠蹊部をカットダウンし左大腿動脈にシースを挿入することにより全身血圧をモニターし、心電計とともに循環管理を行う。左大腿静脈に2本シースを挿入し、1本はSwan-Ganz catheterにより連続肺動脈圧測定と心拍出量計測に用いる。もう一本は、肺動脈まで8Fr.ロングシースを挿入し、肺動脈内に作成した血栓を送り込む。右大腿静脈より、もう一本肺動脈までロングシースを挿入・留置し、ハイブリッドIVR治療システム誘導に使用する。 10頭は3群にわける。I群2頭は、肺動脈血栓塞栓症を生じうる有効血栓量の決定に用いる。少ないと循環動態がほとんど変動しないし、あまりに多いと頓死してしまう。ある程度ショックバイタルがつづく血栓量を決めることになる。II群4頭は、新規ステント型フィルターの性能評価に使用する。デバイス径15㎜、デバイス長70㎜でよいか、慎重に評価する。III群4頭は新規ステント型フィルターに、血栓溶解薬をどの程度加えることにより治療効果が増強されるかにつき検討する。 治療効果判定に際しては、具体的には、ハイブリッド治療の手技前・手技中・手技後において、呼吸・循環動態を詳細にモニターし、適宜エックス線撮影を追加し画像評価を加える。 動物実験により、システムの安全性と有効性が証明された場合、病院に搬入される重症静脈血栓塞栓症を対象として、十分なインフォームド・コンセントを得た後、細心の注意をもって、新しいハイブリッドIVR治療システムの臨床応用を開始する。
|
Causes of Carryover |
当初、計画が順調に推移すれば動物実験まで開始できるとしたが、実際にはそこまではいきつけなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験は、動物実験棟にて行う。中型動物(ブタモデル)の使用が、臨床応用を考えると最も適している。40kgメスブタ10頭分を予算に計上した。10頭は3群にわける。I群2頭は、肺動脈血栓塞栓症を生じうる有効血栓量の決定に用いる。少ないと循環動態がほとんど変動しないし、あまりに多いと頓死してしまう。ある程度ショックバイタルがつづく血栓量を決めることになる。II群4頭は、新規ステント型フィルターの性能評価に使用する。デバイス径15㎜、デバイス長70㎜でよいか、慎重に評価する。III群4頭は新規ステント型フィルターに、血栓溶解薬をどの程度加えることにより治療効果が増強されるかにつき検討する。 人件費・謝金は、研究補助に使用する。
|
Research Products
(8 results)