2018 Fiscal Year Research-status Report
塩化ラジウムー223治療におけるリンパ球DNA損傷に関する研究
Project/Area Number |
16K10366
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 直人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40210926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
道合 万里子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40515673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 塩化ラジウム-223 / DNA損傷 / 放射線障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌の多発性骨転移に対する治療として塩化ラジウム-223を用いた放射線内部照射治療が現在選択可能となっている。しかしながら、実際には塩化ラジウム-223を用いた放射線内部照射治療では、軽度ながら様々な副作用が報告されている。特にリンパ球に関しては、血中数の一過性の減少を認めた報告がある。ところが、塩化ラジウム-223を用いた放射線内部照射治療に伴う、生体内のリンパ球自体への影響である放射性組織障害に関して、DNA損傷を直接評価する検討は現在まで見られない。塩化ラジウム-223を用いた放射線内部照射治療について、血液の内で最も放射線感受性が高いと考えられているリンパ球に対して、どの程度の放射性組織障害が出現するのか、DNA損傷部位に集積することが知られているγ-H2AXを用いて基礎的に検討しようと考えた。γ-H2AXに対する抗体で細胞の免疫染色を行うと、DNA損傷部位が核内の点として染色され光学顕微鏡でDNA損傷の個数を数えることができる。 対象患者の治療前の末梢血と治療翌日の末梢血からリンパ球を分離し、γ-H2AXを用いて細胞の免疫染色を行った。DNA損傷部位が核内の点として染色され、光学顕微鏡でDNA損傷の個数を数え、治療前後の末梢血リンパ球に発生するDNA損傷数の定量測定を行った。 結果:対象患者二名に治療前後にDNA損傷を測定した。治療投与前後でのリンパ球数50個を対象にしたγ-H2AXの輝点の平均値は一名が前0.78±1.47 後0.52±1.0、再治療時、前0.76±1.42後0.80±1.48であった。二例が、0.38±0.88 後 0.40±0.95であった。治療にともなう有意な損傷は測定できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院での塩化ラジウム-223の治療に関しては全面的に泌尿器科の依頼によって行われている。泌尿器科の治療経過の中で、対象患者が選択されるため、他の化学療法が選択される患者が多く、泌尿器科の主導で行わざるを得ない状況である。泌尿器科には本治療の選択をお願いしているが、症例は極限られているため中々困難な状況には変化を求めることは難しい。本治療が高額治療とあり、概して前立腺自体の高齢者も多く、アイソトープ治療には至らない現状は存在する。しかし、積極的に本治療を選択できるように泌尿器科には求めてはいる。更に採血は治療前と治療後翌日の予定となっており、対象者すべて外来遠方からにの対象患者には翌日採血には抵抗を伴うことがある。しかし、対象になった患者様には研究内容を理解してもらい研究参加をできる限るお願いする努力は続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数を増やために、泌尿器科とさらに緊密に連携することを考えている。治療は外来で行われるために研究参加には治療当日と翌日の採血をお願いしている。しかし、遠方から来院される対象患者は、翌日の来院が妨げになる場合がある。治療後の検体の採取を、治療翌日ではなく、治療当日の治療後1時間での採血に変更することを考えている。γ-H2AX染色でのDNA損傷検出は、DNA損傷発生後30分ですでに可能であるとされているので、プロトコールを変更してもDNA損傷の検出は可能であろうと考えている。
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