2017 Fiscal Year Research-status Report
Personalized radiosensitized radioimmunotherapy for peritoneal dissemination
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16K10375
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
吉井 幸恵 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主幹研究員(定常) (10397242)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核医学 / PET / がん / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹膜播種は、現在有効な治療法がなく、新規治療法の開発が求められている。現在、その治療においては、手術により病巣を切り取る外科療法が標準治療として行われているが、肉眼ではとらえられない微小転移巣を切除することは難しく、これが再発の原因となっている。また、現在大腸がんにおいては、5-FU等を用いた術後化学療法が行われているが、効果は不十分であると報告されており (Vallantら Ann Surg 2000)、より有効な治療法の開発が課題となっている。一方、治療用放射性核種を標識した抗体(放射性抗体)を体内に投与する「放射免疫療法」は、散在性微小がんに放射性抗体が結合し、細胞を放射線により近傍から攻撃できるため、有望な術後療法として期待されている(Koppeら J Nucl Med 2006)。大腸がんにおいては、多くの患者で高発現する上皮成長因子受容体(Epithelial Growth Factor Receptor, EGFR)を標的とした放射性抗EGFR抗体(放射性セツキシマブ)を用いた放射免疫療法が有望であると報告されている(Guoら J Nucl Med 2013)。しかし、抗EGFR放射免疫療法の実用化に向けては、さらなる最適化が望まれる。また最近、放射線に対するがん細胞の応答経路は細胞毎に異なるため、各がん細胞に効果の高い放射線増感剤に違いがあることが報告された(Kleimanら PLOS ONE 2013)。本研究では、抗EGFR放射免疫療法において、がん個性に応じた増感剤を事前に選択し、これを併用する方法の開発を行っている。昨年度は、放射性抗体の合成・増感剤スクリーニングキットの作製を行った。本年度は、増感剤スクリーニングキットによるがん個別最適増感剤の選定法を確立した。これにより、抗EGFR放射免疫療法における「個別化増感放射免疫療法」の提供を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、以下の内容につき検討を行った。 ・増感剤スクリーニングキットを用いたがん個別最適増感剤の選定 ヒト大腸がん細胞株を用い、三次元培養を行った。これを用い、昨年度開発した増感剤スクリーニングキットを適用し感受性試験を行うことで、各がん細胞に対する最適増感剤を選定した。感受性試験は、三次元培養に対し、放射性抗体投与後、各増感剤を一定時間処理した細胞に対し、細胞活性を測定することで評価した。また、本年度は次年度でのマウス腹膜播種モデルを用いた生体内治療実験の評価のために、マウスモデルの確立を行った。マウス腹膜播種モデル作成には、ヒト大腸がん細胞RFP安定発現株を使用した。その結果、本研究に適用しうるマウス腹膜播種モデルの作成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
・生体内での治療効果試験・副作用評価 マウス腹膜播種モデルを使用し、治療効果試験を行う。マウス腹膜播種モデルの作成は、培養したRFP安定発現細胞を調整し、ヌードマウス腹腔内に投与することで行う。腹膜播種モデルにおける腫瘍増殖の評価には、in vivo蛍光イメージング装置(IVIS Imaging System)を用いる。本実験においては、経時的にマウスの蛍光イメージング観察を行い、腫瘍増殖を評価する。なお、蛍光イメージング装置はすでに当該研究所に既設されているため、研究を迅速に遂行できる。本検討では、増感剤スクリーニングキットで決定した各がん細胞における最適増感剤を併用し、その治療効果を確かめる。また、併せて64Cu標識セツキシマブを用いた増感剤併用治療における副作用も検証する。最終年度になるので、成果をまとめ、発表を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、計画していたがん個別最適増感剤の選定法の開発が、順調に進んだため、消耗品の購入額が少なくて済んだ。来年度は、動物実験が多くなるため、そのための費用として、その残額を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)