2020 Fiscal Year Research-status Report
Radiomicsを用いた肝癌に対する”個別化”陽子線治療法の確立
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16K10379
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 徳雄 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80572495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Tha KhinKhin 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20451445)
サザランド ケネス・リー 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70643914)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 陽子線治療 / 放射線治療 / 肝癌 / MRI / ADC |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)肝細胞癌(HCC)陽子線治療前の画像データ情報と再発の関連性についての解析 陽子線治療前のMRI 拡散強調画像より得られるapparent diffusion coefficient (ADC)画像を用いて解析した。同一の1.5テスラMRI装置でADC画像が撮像されたHCC32病変を対象とした。まず、腫瘍ROI設定において、アーチファクト等の影響による観察者毎のばらつきを評価するために5名の放射線治療専門医が32病変の輪郭を囲った。各観察者毎にすべての病変ROIから得られるADC値のvoxelデータを抽出し、各ROIのADC数値指標(最小値、中央値、最大値など)を計測した。ばらつきは変動係数(CV)と級内相関係数(ICC)で評価した。CVの評価ではADC最小値とADC最大値で他の指標と比べて有意に値が高く、ばらつきが大きいことが明らかとなった。結果の一部を第34回高精度放射線外部照射部会学術大会で発表した。 ICCの評価ではADC平均値、第1四分位値、中央値、第3四分位値でいずれも0.95以上と観察者間再現性が優良であった。各32病変のROIにおけるこれら4つの指標値の観察者5名の平均値と陽子線治療後の局所再発の関係についてROC解析を行いcut off値を決定した。cut off値で2群に分けて2年局所制御率を比較したところ、4つの指標値全てでcut off値よりも高い群は低い群に比べて局所制御率が有意に高く、治療前ADC値が陽子線治療効果予測に有用である可能性が示唆された。結果は第63回米国放射線腫瘍学会年次総会に演題登録した。HCCのADC値のばらつき評価、ADC値と陽子線治療後の局所制御との関係はこれまで報告されたことはなく、本研究成果が初の報告となる。 (2) HCCに対する動体追跡X線治療成績 2019年に日本定位放射線治療学会で発表した内容を論文化しHepatology Research誌(査読付き)に投稿し、2021年4月にacceptされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度については、新型コロナウイルスの影響により研究進捗が滞った。2020年度中にADC画像を用いたHCC陽子線治療前の画像データ情報と再発の関連性について学会発表の完了と論文化を目指していたが、2020年度は結果の一部を第34回高精度放射線外部照射部会学術大会に発表するにとどまった。一方で、2021年2月に米国放射線治療学会に演題を登録でき、また、2020年10月には日本放射線腫瘍学会で「腫瘍径3cm以上5cm以下のHCC症例におけ陽子線治療とX線VMATの線量比較」の研究については発表でき、2021年1月には動体追跡X線治療の成績を論文化の上で査読付き英文誌に投稿したので、研究進捗としてはやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ADC画像を用いたHCC陽子線治療前の画像データ情報と再発の関連性について、今回解析の対象とした症例とは別に、他の種類のMRI装置で取得されたADC画像のデータも取得し、これらのデータと合わせてADC値と局所制御の関係について追加解析する。腫瘍への陽子線投与線量についてのデータを追加し、局所制御の評価について精度を高める。 以上の追加解析を行うとともに論文化に向けて準備を進める。
2. 線量増加シミュレーションプランへの応用を目指して、NTCPモデルを用いて腫瘍径3cm以上5cm以下のHCC症例におけ陽子線治療とX線VMATの線量比較を解析し、2020年の日本放射線腫瘍学会で発表した。この手法を元にADC値の線量増加シミュレーションプランを評価する。あわせて陽子線治療計画における肝臓線量と陽子線治療後の肝実質変化との評価も行う。以上の追加解析を行うとともに論文化に向けて準備を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大のため研究進捗が滞り、当初予定していた2020年度内での学会発表や査読付き英文誌雑誌への論文投稿を断念し必要な英文校正や論文投稿に関わる費用を支出できなかった。また、参加した学会もオンライン開催が多く、旅費を使用しなかった。 2021年度では、研究成果の学会発表や論文化に必要な英文校正および論文投稿料に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)