2017 Fiscal Year Research-status Report
食道癌ゲノム・エピゲノムの腫瘍内不均一性解析による化学放射線療法耐性機構の解明
Project/Area Number |
16K10397
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平田 秀成 九州大学, 大学病院, 医員 (90721267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00772493)
平川 雅和 九州大学, 大学病院, 准教授 (20380454)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学放射線治療耐性 / ゲノム / エピゲノム / 腫瘍内不均一性 / 食道癌 / 放射線腫瘍学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法(CRT)再発の原因を明らかにすることを目的とする。CRT耐性クローンの特徴を捉えるために、一腫瘍内における遺伝子異常の不均一な分布「腫瘍内不均一性」に着目し、研究を開始した。症例選定のために食道扁平上皮癌のうち根治的CRT(放射線照射50Gy以上の線量投与+シスプラチン+5-FU)を完遂した症例の経過観察を行った。治療後に一旦臨床的完全寛解に至り、その後食道原発巣へ局所再発を来した3症例を選定し、本研究の解析対象とした。腫瘍内の一部にのみ存在する遺伝子異常を捉えるために、同一患者由来の食道癌原発巣とCRT後局所再発巣をマルチサンプリングし、腫瘍細胞からDNAおよびRNAを抽出した。腫瘍内の各領域より抽出したゲノムDNAは、Agilent社製のライブラリを用いてサンプル調整を行い、次世代シークエンサー(HiSeq2500)によるエキソーム(SureSelect Human All Exon V5)を施行した。さらに同一検体由来のRNAを用いてRNAシークエンス(SureSelect Strand Specific RNA)も施行した。得られた膨大なゲノムデータを解析し、遺伝子変異やゲノムコピー数異常について腫瘍内の各領域における異常を検出したところ、再発病変は未治療時と異なるゲノムプロファイルを示した。今後は同様の解析をトランスクリプトーム・エピゲノムの解析においても実施予定である。最終的にはゲノム・転写レベルで腫瘍内不均一性の変遷(CRT前~再発)を捉え、数理・統合解析することで、再発に至る耐性クローンの起源や特徴的な遺伝子異常・異常カスケードを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は同一症例由来の食道癌原発巣および化学放射線治療後の局所再発病変を対象とし、遺伝子異常の腫瘍内不均一性を解析することで、治療耐性機構を検討している。現在までに根治的化学放射線治療を完遂し、局所再発を来した症例の腫瘍組織よりDNA・RNAの抽出を行い、各種シークエンスを実施し、ゲノム・トランスクリプトーム異常の検出に成功した。従って研究計画はおおむね順調に進展していると自己点検による評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子統合解析を行いことで、ゲノム・トランスクリプトームレベルの腫瘍内不均一性が食道癌に対する化学放射線療法耐性に寄与するメカニズムを解析する予定である。さらにPBAT法による網羅的DNAメチル化シークエンスを行い、エピゲノムについても同様の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
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