2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10399
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
大西 健 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50152195)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / スフェロイド / CD133 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞は放射線および抗がん剤に対して抵抗性を示し、治療後に残存したがん幹細胞は再発や転移の要因となると言われている。しかし、がん幹細胞の性質は、腫瘍内微小環境の変化に強く影響を受け、培養系において安定的にその性質を維持することは難しい状況にある。我々は、腫瘍のin vitroモデルである3次元細胞塊(スフェロイド)の低酸素微小環境にがん幹細胞マーカーかつ未分化細胞マーカーに対し陽性を示す細胞が可塑的に出現すること、さらに、この細胞が放射線抵抗性を示すことを明かにしている。本研究は、放射線生物学的研究にがん幹細胞のモデル細胞を安定的に供給できるよう、このCD133陽性細胞から株化がん幹細胞様細胞を樹立することを目的としている。28年度は、スフェロイドを増殖させ継代維持できる培養法について検討した。その結果、スフェロイドをα-MEM培地入り非接着性シャーレ内で継代維持できることを明らかにした。スフェロイドの作製及び継代手順は以下の通りである。 1.α-MEM培地入り96穴非接着性U字プレートに細胞を1万個播種 2.10日後、形成したスフェロイドをα-MEM培地入り非接着性10cmシャーレに移す 3.さらに約5日後、最初に形成したスフェロイドから自然剥離した細胞から娘スフェロイドが形成される 4.その後、適時α-MEM培地を交換することにより、長期間、娘スフェロイドを継代維持 今後、娘スフェロイドにCD133陽性細胞が存在すること、このCD133陽性細胞ががん幹細胞の性質を示すことを調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的とするスフェロイドを増殖させ継代維持できる培養法について検討したところ、継代維持できる方法を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
継代維持したスフェロイド内のCD133陽性細胞が、がん幹細胞様性質(未分化性、放射線抵抗性、非対称分裂性及び腫瘍形成能)を保持しているか調べる。本研究では特に、非対称分裂性及び腫瘍形成能について調べる。非対称分裂性については、分裂によって生じた2細胞それぞれのシングルセル遺伝子発現解析を行うことにより、がん幹細胞としての形質を確認する。腫瘍形成能については、ヌードマウスに細胞を移植し、腫瘍形成に必要な最小細胞数について検討する。
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Causes of Carryover |
年度末の緊急な予算使用の必要性を見込んだため残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分の物品費と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)