唾液メタボローム解析を用いた放射線感受性予測法の確立

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K10404
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 徳植 公一 東京医科大学, 医学部, 教授 (00334061)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 唾液メタボローム / 非小細胞肺癌 / 放射線感受性

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、患者の個体差に応じた放射線治療計画を立てることを目標として、放射線治療の感受性を予測するためのバイオマーカーを探索することを目的とした。研究の対象は、臨床病期I期の非小細胞肺癌と局所進行非小細胞肺癌に対して根治的放射線治療を行っている症例とした。研究を始めるに際して、非小細胞肺がんに対する唾液メタボローム解析を用いた放射線感受性予測法の確立というプロトコールを作製し、安全で有益な臨床研究という評価のもとに倫理審査委員会の承認を得た。あらかじめ被験者には説明文書を用いて唾液採取法を説明して、一定の方法で唾液が取得できるようにした。唾液採取は、治療開始2週間後、治療直後、治療3ヶ月後、治療一年後の朝食前に行った。この唾液検体から得られる500種にのぼるメタボロームの変化を網羅的にモニタリングして、治療前に効果を予測できるバイオマーカーを探索しようとするものである。臨床データとしては、生存期間などの臨床成績、局所制御などの放射線治療を行った局所の反応に加え、局所の有害事象とその有害事象の広がりについてのデータを取得している。I期非小細胞肺癌では長期生存が期待できるために、有害事象の発生についてのデータが得られることを期待しており、II、III期については腫瘍の制御、転移に影響を与える因子の検出を期待している。この研究は経時的な唾液の採取のみで可能であり、患者負担は少なく、安全に施行できる研究である。現在、40名の患者登録があり、その唾液検体は本研究費で購入した超低温フリーザーに保存している。測定条件の差によるデータ間のばらつきを最小化し、データの信頼性を高めるために、約50検体ごとまとめて測定し、今回2回目のデータを共同研究者に送付している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

検体を登録、収集している段階であり、想定外の事象は生じていない。

Strategy for Future Research Activity

肺癌のメタボロームの解析が放射線感受性、有害事象の検出に貢献できるかどうかを確認する。また、得られた知見に基づき、他の癌腫の検討に入る。

Causes of Carryover

治療前後の患者の検体を採取して、治療前後の画像を用いて評価する試験であるため、データの採取に予定以上の時間がかかった。次年度までにデータの取得を完了して、統計解析後に学会発表、論文発表を予定している。