2017 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析による頭頸部がんの放射線感受性予測
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16K10411
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
茂木 厚 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (10433997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 哲夫 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (10261851)
北條 秀博 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60638774)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子解析 / 頭頸部扁平上皮癌 / 中咽頭癌 / HPV / p53 / cell free DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体を用いた、頭頸部扁平上皮癌における、網羅的遺伝子解析を行うことを目指し、施設内の研究倫理審査委員会への申請、許可を得たのち、前向きに検体収集を行った。これまでに10例の頭頸部扁平上皮癌症例から検体を採取した。組織そのものを生検で採取を行うことは侵襲が高いため、頭頸部癌患者の血液、唾液より腫瘍組織を採取する方針とし、採取された検体より、DNAを抽出した。採取された検体内に、一定の質、量のDNAが存在することが確認されている。唾液の方が血清中よりも、回収されたDNA総量は多かった。唾液中の総DNA濃度は、9例の中央値で、540 ng/μlであった。がんの網羅的遺伝子解析を行うにあたっては、市販のキャンサーパネルを用いず、独自のキャンサーパネルを発注し、構築した。これは、特に頭頸部扁平上皮癌に特異的に認められると考えられる遺伝子変異を中心に解析を行うためである。キャンサーパネルの設計にあたっては、Pubmed上にupoladされている、遺伝子変異情報や、マイクロアレイによる発現情報を独自に二次解析を行って確認をした。中咽頭癌においては、HPV感染例はPI3K関連変異が多く認められる一方、HPV非関連癌においては、p53など、喫煙などに関連した癌と同様の変異プロファイルを示しており、これは既報と矛盾しない結果であった。そのため、網羅的遺伝子解析を行うにあたり、従来高い頻度で変異が報告されているp53やRBなどの遺伝子候補に加えて、HPVやEBVなどのウィルス関連遺伝子も同時に解析を行う方針とした。現在、抽出されたDNAから、ライブラリを作成する部分まで完了しており、今後、網羅的遺伝子解析へ進む予定である。研究結果の一部を、2018年日本放射線腫瘍学会 生物部会学術大会 (第56回) で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、頭頸部扁平上皮癌における網羅的遺伝子解析と、その結果が放射線治療成績に及ぼす影響として研究を開始した。TCGAデータベースの構築の進展程度からも明らかなように、現在世界中から種々の癌における網羅的遺伝子解析の報告があり、pubmedデータベースに絶えずその遺伝子変異情報がuploadされている。このような状況のもとで、市販されているキャンサーパネルを用いた遺伝子解析を行っても、学問的に新規性のある報告を行うことは困難と考えた。そのため、頭頸部扁平上皮癌の遺伝子変異解析に特化した、カスタムキャンサーパネルを独自に構築した上で解析を進めることとした。候補遺伝子の確認においては、すでにデータベース上にuploadされている変異、発現情報を二次利用することで行うこととし、独自のキャンサーパネルを構築した。これまでのところ、前向きの検体採取そのものはDNAの質、量的に問題ないことは確認できており、抽出されたDNAからライブラリ作成まで順調に進んでいる。実際の変異解析や、実際の治療成績との比較検討はこれからであるが、研究そのものは概ね順調に進んでいることから、上記の区分(概ね順調に進展している)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部扁平上皮癌における、網羅的遺伝子解析による結果をもとに、放射線治療感受性を予測することを目指して研究を継続している。現在、前向きに侵襲を低く患者から採取した資料から、DNAを抽出して網羅的遺伝子解析の準備を進めている。今後、低侵襲な方法で患者から試料を採取し、そこから腫瘍特異的な遺伝子変異を検出し、放射線治療感受性との関連性を見出すことができた場合は、ひきつづき同様の研究を多施設で、症例数を増やしてその妥当性を検討することを検討している。放射線治療の現場では、実際に患者から試料を採取することは困難で、そのため、放射線治療関連のバイオマーカーの開発が遅れるという事態があったが、近年の技術発達により、より微量の成分から腫瘍の遺伝子変異を検出できるようになりつつある。本研究結果により、侵襲を低く保ちつつ、網羅的遺伝子解析が可能であることを示せれば、実臨床に生きる研究結果を残すことが可能になると考えられる。
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Causes of Carryover |
現在、抽出した遺伝子をライブラリ化し、シーケンサーによる解析を行う段階である。昨年度までに、シーケンサーによる解析を終了する予定と当初していたが、臨床試験の登録の遅れがあり、解析時期が最終年度にずれ込んでしまったため、次年度使用額が生じた。来年度中に、シーケンサーによる解析と、その結果の集計、発表が行われる予定であり、それらに該当金額が使用される予定である。
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[Journal Article] Radiotherapy increases plasma levels of tumoral cell-free DNA in non-small cell lung cancer patients.2018
Author(s)
Kageyama S, Nihei K, Karasawa K,, Sawada T, Koizumi F, Yamaguchi S, Kato S, Hojo H, Motegi A, Tsuchihara K, Akimoto T.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 10;9(27)
Pages: 19368-19378
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The 5-year outcomes of moderately hypofractionated radiotherapy (66 Gy in 22 fractions, 3 fractions per week) for localized prostate cancer: a retrospective study.2018
Author(s)
Yaichiro Hashimoto, Atsushi Motegi, Tetsuo Akimoto, Norio Mitsuhashi, Junpei Iizuka, Kazunari Tanabe, Yuka Ishii, Sawa Kono, Sachiko Izumi, and Kumiko Karasawa
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Journal Title
Int J Clin Oncol
Volume: 23(1)
Pages: 165-172
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Proton beam therapy for olfactory neuroblastoma.2017
Author(s)
Naoki Nakamura, Sadamoto Zenda, Makoto Tahara, Susumu Okano, Ryuichi Hayashi, Hidehiro Hojo, Kenji Hotta, Satoe Kito, Atsushi Motegi, Satoko Arahira, Hidenobu Tachibana, and Tetsuo Akimoto
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Journal Title
Radiother Oncol
Volume: 122(3)
Pages: 368-372
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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