2016 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞初代培養系(CTOS法)を用いた分化型腺癌の放射線耐性メカニズムの検討
Project/Area Number |
16K10414
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
遠藤 洋子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), 研究所, 研究員 (20359300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正宏 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), 研究所, 総括研究員(生化学部門長) (10342990)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 放射線感受性 / 分化型腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、三次元癌細胞初代培養系CTOS(Cancer Tissue-Originated Spheroid)法を用いて分化型腺癌の放射線耐性メカニズムを検討することを目的としている。CTOSは分化型腺癌の形質を保持しており、培養条件の違いによってLGR5やEpHB3などの幹細胞性マーカー遺伝子の発現が変化する。CTOSを用いることで、同一腫瘍内における分化度の違いによる放射線感受性の差を検討することが可能となる。我々は、「X線照射後に再増殖する細胞は幹細胞的性質を保持した細胞である」という仮説を立て、分化型腺癌の放射線耐性メカニズムを検討している。 本年度は、CTOSの分化状態に影響を与える可能性のある薬剤を用いて放射線感受性への影響を検討した。CTOSを機械的に粉砕すると、Wntシグナルが一過性に上昇する(Jhosep in preparation)。Wntシグナルが活性化した状態の粉砕後のCTOSとコントロールのCTOSの放射線感受性を比較すると、粉砕後のCTOSの方がより放射線耐性を示した。また、Wnt阻害剤であるXAV-939を前処理することで、粉砕後CTOSの放射線感受性が増大したことから、Wntシグナルの活性化している細胞が放射線耐性であることが示唆された。さらに、HDAC阻害剤であるトリコスタチンAがX線照射後のCTOSの再増殖を著しく低下させることを見出した。現在、マイクロアレイでHDAC阻害剤の標的遺伝子を検討しており、下流の責任分子を同定することを試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナルが放射線耐性において重要であること、またHDAC阻害剤が放射線感受性を著しく増大させることを見出した。HDAC阻害剤は遺伝子発現に幅広く作用するので、どの経路の変化が放射線感受性に最も強く影響を与えるかを今後検証する。
|
Strategy for Future Research Activity |
HDAC阻害剤の標的シグナルを検討する。マイクロアレイの結果を解析し、候補シグナル経路の鍵分子のノックダウン等を行い、放射線感受性への影響を検討する。 また、HDAC阻害剤以外の放射線増感剤候補を得るため、ハイスループットスクリーニングの系を確立する。
|
Causes of Carryover |
培養に必要な試薬類や学会出張の旅費を他のグラントより支出したため、残額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養試薬(StemPro hESC 5万円/セット)や必要備品の購入で使用する。またマウスの実験を行うため、動物購入費に充てる。
|