2017 Fiscal Year Research-status Report
時計遺伝子を標的とした乳癌微小環境制御とその臨床応用
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16K10448
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
諸橋 聡子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (90569592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 雲燕 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40636586)
鬼島 宏 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90204859)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳癌 / 微小環境 / 分子標的治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、概日リズム下で、時計遺伝子の発現を応用した癌細胞増殖・癌細胞-間質相互作用・腫瘍血管新生の機序を証明することで、乳癌微小環境の病態解明と、増殖抑制機構の構築を目標とする。さらには、概日リズムおよび微小環境を考慮した新たな時計遺伝子をターゲットとした抗癌剤(分子標的を含む)の概念を構築することを目的とする。 ヒト癌細胞(TE-11)において、抗癌剤シスプラチンの添加により、時計遺伝子DEC2の発現は抑制され、時計遺伝子DEC1の発現が上昇することが示された。さらに、シスプラチンを添加した状態で、ヒト癌細胞(TE-11)にDEC2を過剰発現すると、pro-apoptotic factorであるBimが抑制された。同時にわずかではあるが、anti-apoptotic factorであるBcl-xLが上昇した。このことから、ヒト癌細胞(TE-11)において、抗癌剤シスプラチンを添加した場合、時計遺伝子DEC2は、anti-apoptotic因子として機能する可能性が示唆された。 ヒト癌細胞(HepG2)において、低酸素下で時計遺伝子DEC1は、HIF1-αとE-cadherinを転写因子レベルで負に制御することが示された。時計遺伝子DEC1は、低酸素下で誘導される上皮間葉転換プロセスにおいて、E-cadherinの発現を抑制することにより、関与している可能性が示唆された。 癌の微小環境における解析では、ヒト癌組織(肝外胆管癌症例)において、リンパ節転移の在り方が予後に影響がある可能性が示唆された。リンパ節の被膜外におよぶリンパ節転移症例は、リンパ節被膜内に収まるリンパ節転移症例に比べて予後が悪い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトがん細胞(TE-11)を用いた実験系で、抗癌剤シスプラチン添加時において、時計遺伝子DEC1、DEC2は、アポトーシスに関与している可能性を示すことができ、一定の成果が出ており、計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな条件下(分子標的治療薬を含む抗がん剤使用条件、微小環境条件)における時計遺伝子の役割を調べ、治療応用への道を探る。
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Research Products
(9 results)