2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of 5hmc as a marker for canceration of mammary ductal epithelial cells
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16K10453
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 勅子 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (30447742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳癌 / バイオマーカー / がん化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】正常細胞では認められるDNA脱メチル化の中間代謝産物5-ヒドロメチルシトシン(5hmC)が、癌細胞では殆ど発現していないことが複数の悪性腫瘍で報告されているが、乳癌での報告は少ない。そこで、乳癌での5hmC発現の意義を探索すべく解析を継続し、正常乳腺組織と乳癌での5hmC発現を解析し、以下の結果を得た。 【対象】2009年~2013年に当科で手術を施行した浸潤径1cm以上の浸潤性乳癌70症例(平均年齢60.3±12.6%)の組織を用いて、免疫染色法で各症例の正常乳腺組織の乳管上皮細胞と乳癌浸潤部の乳癌細胞の5hmC陽性率を定量的に評価し、正常乳腺組織と乳癌浸潤部組織での5hmC発現を比較した。さらに、閉経状況やサブタイプにより違いがあるか解析した。 【結果】解析した乳癌の浸潤径は2.2±2.0cm。5hmCの陽性率は、正常乳管上皮細胞34.4±25.7%に対し、乳癌浸潤部の乳癌細胞では0.8±3.1%と、正常乳管上皮細胞に比べ乳癌細胞では5hmCの発現の有意な低下を認めた(p<0.01)。また、閉経前(n=23)、閉経後(n=47)のいずれにおいても正常乳管上皮細胞に比べ乳癌浸潤部の乳癌細胞での5hmC発現は有意に低く(p<0.01)、さらにいずれのサブタイプにおいても5hmCの発現は、乳癌浸潤部の乳癌細胞で有意に低下していた(p<0.01)。 【考察】以上の結果から、5hmC発現は閉経状況や乳癌のサブタイプによらず乳癌浸潤部の癌細胞で低下しており、DNA脱メチル化機構の異常が乳癌発生に関与している可能性が示唆され、5hmCの発現低下が乳癌のバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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