2018 Fiscal Year Research-status Report
癌遺伝子候補MYNNとp53の統合的解析と肺癌発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K10460
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 香織 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50722162)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70379840)
片山 博志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90713975)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MYNN / p53 / Lung cancer / BTB/POZ |
Outline of Annual Research Achievements |
新規癌関連遺伝子MYNNは、肺癌、卵巣癌、食道癌、乳癌等において高頻度で遺伝子増幅がみられる。前年とまでにMYNNが、野生型および変異型p53と直接結合することがわかった。またMYNN安定発現細胞株(MYNN-OE細胞株)およびMYNN発現抑制細胞株(MYNN-shRNA細胞株)を樹立し、機能解析を行ったところ、MYNN-OE細胞は細胞増殖能および細胞遊走能が対照細胞に比べ亢進された。一方、MYNN-shRNA細胞では細胞増殖および細胞遊走が抑制された。 平成30年度では、これらの結果を踏まえ両樹立細胞株をそれぞれマウスの皮下および肺組織に移植し癌の進展および転移を観察した。その結果、MYNN-OE細胞を移植したマウスでは、対照マウスと比較して腫瘍体積の増大(皮下移植)、全身転移(肺移植)が認められた。MYNN-shRNA細胞を移植したマウスでは、対照マウスと比較して腫瘍体積の減少し、転移の減少傾向にあった。また野生型p53細胞株(A549, H460, MCF7)において、抗がん剤であるエトポシドでDNA損傷を起こしp53を高発現させると、MYNNがタンパク質レベルで減少することがわかった。同条件でのmRNAレベルの減少を認めることができなかったため、ユビキチン化等によるプロテアソーム系で分解されると予想される。 MYNNとp53を含めた発癌分子ネットワークの構築は、MYNNの機能情報がデータベース上にないため分子間ネットワークを調べることが困難であった。そのためアレイ解析から得られた発現変動を示したMYNNの下流で機能する遺伝子との関連を機能面から解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MYNNおよび標的遺伝子と考えられるLong noncoding RNAの機能が未知のためデータベースを利用する分子間ネットワークを構築することができなかったが、細胞実験、マウス実験の結果からMYNNが癌遺伝子であることを明確にすることができた。追加実験の必要もあるが、進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題でMYNNが癌遺伝子であり、p53と相互作用していることが明確になった。MYNNの標的遺伝子をアレイ解析およびChIP-PCRから幾つか同定しているので、その機能解析から発癌進展のメカニズムを明らかにすることが必要である。更なる機能解析の遂行には継続的な科研費の獲得が課題となる。
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Causes of Carryover |
本研究課題で得られた結果を国際論文として発表するために、論文投稿料として次年度使用額として申請した。 次年度使用額が生じた理由は、当初の実験計画を効率的かつ効果的に進めた結果、試薬・消耗品等の経費を節約することができたためである。
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Research Products
(1 results)