2016 Fiscal Year Research-status Report
転移再発乳癌の薬剤耐性遺伝子変異を効果予測因子とする最適な治療戦略の研究
Project/Area Number |
16K10485
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
荒木 和浩 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80406470)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HER2 / Breast Cancer / Genomic alteration / Heterogeneity |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的 本研究では乳癌治療中に採取された原発と転移再発部位の検体を用い、転移再発関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子の変化を臨床情報との統合解析によって、治療標的遺伝子を探索する。癌は遺伝子変異の蓄積による不均一な病態である。HER2陽性乳癌も、症例毎に病態および薬剤感受性が不均一で、同一症例でも一次治療と転移再発後の治療効果は様々である。現状では初期の効果予測因子での治療方針が継続され、転移再発・薬剤耐性を来しても再考されない。そこでHER2陽性乳癌を対象に遺伝子変異の逐次的変化と治療効果との相関を探索することにより、転移再発乳癌の薬剤耐性遺伝子を同定し、それを効果予測因子とする最適な治療戦略の確立を目指す。 研究実施計画(平成28年度)抗HER2治療中に逐次採取された病理検体で原発部位と転移・再発部位の遺伝子変異を確認する。 現在までの達成度 研究代表者の異動(平成28年9月)にともない実施施設の変更と対象症例の変更を行った。また、開始時期もそのため延期した。 対象症例は現在の実施施設におけるHER2陽性乳癌手術症例を対象としている。全手術症例1277症例から、ホルモン受容体およびHER2受容体の免疫染色の結果をもとにHER2陽性乳癌164症例を抽出した。86症例にホルモン受容体の陽性を同時に認めLumial HER2タイプとし、残りの76症例がホルモン受容体の発現をみとめHER2タイプと判断した。164例中で術前化学療法を行った症例が66例であった。そのうちLumial HER2タイプは39症例、HER2症例は32症例であった。全体の症例で手術の前後のいずれかにHER2の免疫染色を行った症例は135症例であり、184枚のHER2染色が行われていた。現在、HER2の定量的評価を行い、発現強度の結果をもとに遺伝子解析の対象症例を選別する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の異動(平成28年9月)にともない実施施設の変更と対象症例の変更を行った。また、開始時期もそのため延期したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 今後の研究の推進方策に必要な消耗品を中心に研究費を使用する。現在、HER2の定量的評価を行っている。免疫染色の評価方法を従来の定性ではなく、発現強度と染色割合によって発現の程度を定量的に評価している。発現強度の結果をもとに遺伝子解析の対象症例を選別する予定である。上記の遺伝子解析方法を行うために凍結組織検体から遺伝子抽出を行いその手法を確立した。12件体から遺伝子(RNAとDNAいずれも)の抽出を行い、その遺伝子の量と質を吸光度で確認した。今後はRNA integrity numberにてその品質を検証する予定である。初年度の解析により、HER2の発現強度に基づいた症例の選択が可能となり、凍結組織標本からの遺伝子抽出が可能となる。並行して遺伝子抽出の方法がほぼ確立したため、対象症例の凍結組織標本からRNAを抽出した後、遺伝子解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動(平成28年9月)にともない実施施設の変更と対象症例の変更を行った。また、開始時期もそのため延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究の推進方策に必要な消耗品を中心に次年度使用額の研究費を使用する。現在、HER2の定量的評価を行っている。免疫染色の評価方法を従来の定性ではなく、発現強度と染色割合によって発現の程度を定量的に評価している。発現強度の結果をもとに遺伝子解析の対象症例を選別する予定である。上記の遺伝子解析方法を行うために凍結組織検体から遺伝子抽出を行いその手法を確立した。12件体から遺伝子(RNAとDNAいずれも)の抽出を行い、その遺伝子の量と質を吸光度で確認し、遺伝子抽出の方法がほぼ確立した。今後はRNA integrity numberにてその品質を検証する予定である。初年度の解析により、HER2の発現強度に基づいた症例の選択が可能となり、凍結組織標本からの遺伝子抽出が可能となる。並行して遺伝子抽出の方法がほぼ確立したため、対象症例の凍結組織標本からRNAを抽出した後、遺伝子解析を行う予定である。
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