2016 Fiscal Year Research-status Report
化学・放射線療法で誘導される細胞老化応答を標的にした、乳がん補助療法の錬成
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16K10486
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
河合 賢朗 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (80513530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
角川 陽一郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (60221173)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳腺外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法・放射線療法は、腫瘍細胞に、細胞死や細胞老化(治療誘導性細胞老化;以下、TIS)を誘導する。どちらも腫瘍の縮小や無憎悪につながるので、レスポンスとして同列に捉えられることも多いが、老化腫瘍細胞は生き残り、再発や耐性がんの出現につながる。この老化細胞を除去する治療の開発に取り組んだ。 化学療法後の乳がん組織について、免疫染色法とRNA解析の両方で検討を行うこととした。組織免疫染色に関しては、p53, p21, p16, gH2AX抗体を入手するとともに、染色条件の検討・最適化を行った。RNA解析については、TaqManプローブを用いたqRT-PCRアッセイをデザインし、期待通りに機能することを確認した。検体収集は概ね完了しており、現在、実際の解析をすすめている。 細胞株を用いた解析では、化学療法に耐性の細胞株、細胞老化を起こしやすい細胞株、細胞死を起こしやすい細胞株、などの分類をすすめた。TIS関連表現型として、解糖系酵素ピルビン酸キナーゼM(Pkm)のスプライシングスイッチを見出した。このスイッチが、代謝のリプログラム化を介して、TIS細胞の生存に非常に重要であることを見出だした。 TIS細胞にて、オートファジーやNAD代謝が亢進していることを示唆する知見を得た。これらのうち、少なくともNAD代謝の阻害が、化学療法の成績を著しく改善することを、マウス前臨床モデルで確認した。オートファジーについては、ATG遺伝子をノックアウトした細胞の作製や、オートファジーレポータープローブを導入するなどして、解析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の抗体で、良好な免疫染色条件が決定できなかったりしたが、前臨床モデルでの検討が想定以上にすすんだこと等を踏まえ、概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえつつ、引き続き、計画にしたがい、TISを新規治療標的として開発する。
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