2017 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹膜播種における組織内IL-17産生細胞の機能解析と造腫瘍性についての検討
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16K10494
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伏田 幸夫 金沢大学, 医学系, 准教授 (10301194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 真市 金沢大学, 医学系, 准教授 (90272955)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胃癌 / 肥満細胞 / 癌微小環境 / トラニラスト / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌細胞株MKN45とヒト腹膜中皮細胞 (HPMC)を共培養し、ヌードマウスの皮下に移植すると、線維化を伴う腫瘍が形成される。この造腫瘍において、肥満細胞がどのように関与しているかは不明であるため、肥満細胞の同定と、その機能を阻害するであろう、トラニラストの効果について検討した。 【方法】①マウス皮下腫瘍の作成にあたり、MKN45 単独あるいはMKN45およびHPMCを1:1で3日間共培養したものを、マウス皮下に5百万個移植する。移植2週目に腫瘍を摘出したものからパラフィン包埋切片を作成し、トルイジンブルーならびにmast cell tryptase染色にて肥満細胞浸潤の有無を確認する。② 同様にマウス皮下へMKN45 およびHPMCを共培養した後、5百万個移植する。移植1週目から3週間トラニラスト200mg/kgを毎日経口投与する群と水のみ投与した群と腫瘍サイズや線維化の程度について検討した。③HPMCのTGFbetaによるEMT様変化に対するトラニラストの作用をウェスタンブロットおよび蛍光免疫染色で検討した。 【結果】①MKN45 単独移植した腫瘍の間質は線維化に乏しく、共培養後に移植した腫瘍では、高度な線維化および、肥満細胞の浸潤が目立った。②線維化モデルのマウスでは、トラニラスト投与群は非投与群に比較し、有意に腫瘍径が小さく、線維化の程度も軽度であった。③HPMCにTGFbetaを添加しEMT が誘導されることを確認後、トラニラストを同時投与すると、濃度依存性にEカドヘリンの発現は回復し、alphaSMAの発現は減少した。 【考察】腫瘍の線維化には肥満細胞の浸潤が関与しており、肥満細胞の脱顆粒を阻害するトラニラストの併用によって腫瘍の増大や線維化が抑制可能であった。そのメカニズムの1つとしてTGFbeta-Smadシグナルの阻害効果も関与していることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト胃がん腹膜播種切除標本を用いた免疫組織学的検討において、倫理審査に時間を要している。 また、ヒト腹膜中皮細胞は手術時の大網から分離培養するのであるが、継代は難しいため、実験のたびに大網から採取しなくてはいけない手間が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した線維化モデル内のIL-17陽性細胞が肥満細胞であることを確認し、抗IL-17抗体投与によっても、腫瘍の増大、線維化が抑制できるかどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
予定よりも実験計画の進捗が遅く、実験費用が少なかったため。 次年度には、遅れを取り戻し、次年度分と合わせて適正に予算を使用する。
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Research Products
(2 results)