2016 Fiscal Year Research-status Report
癌関連線維芽細胞(CAFs)の免疫抑制機構の解明と標的治療としての可能性
Project/Area Number |
16K10499
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野間 和広 岡山大学, 大学病院, 助教 (10534761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん微小環境 / 食道癌 / がん関連線維芽細胞 / 腫瘍免疫 / 光線免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的治療の発展と腫瘍免疫学の進歩により腫瘍免疫抑制を解除することが実際に腫瘍制御へ繋がることが示された。また、その腫瘍内における免疫抑制においても“がん微小環境”の強い関与が示唆されている。そこで本研究においては“がん微小環境”の癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAFs)が腫瘍内免疫抑制へどのように影響を与えているかを解析し、光線免疫抗体療法を用いてCAFsの標的治療を行い遠隔転移など治療困難であった進行癌における革新的な治療法を開発することを目的とする。 H28年度で以下の項目を検討する。消化器癌の臨床検体を用いてCAFsと腫瘍内免疫の相互関係を解析し臨床病理学的に検討する。続いてvitroにて癌細胞とCAFsの共培養による細胞間相互作用を再現し、CAFsの腫瘍免疫抑制作用について検証する。さらにvivoにてCAFs richな腫瘍の腫瘍免疫抑制作用を検証する。 結果としては、臨床病理学的検討において切除標本におけるαSMAの発現量とTILsの浸潤数は有意な相関関係を示した(共にP<0.001)。多変量解析にて腫瘍内のTILsは全生存期間において独立した予後因子であった(CTL: HR=0.45, 95% CI= 0.27-0.77, P=0.004, Treg: HR=1.86, 95% CI=1.05-3.29, P=0.034)。in vitroにおいて、CAFsとの共培養モデルでは癌単独モデルと比べ、IL-6ならびにTGF-βの分泌量が有意に増加していた。さらにIL-6のシグナル伝達分子であるpSTAT3の値は共培養群で上昇していた。in vivoマウス皮下腫瘍モデルでは、線維芽細胞と共接種した腫瘍では、癌細胞単独接種に比べてCD8+リンパ球の浸潤が少なく、逆にFoxP3+細胞が多い結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間の研究期間を設定し、初年度であるH28年度においては、食道癌の切除標本を用いた検討、さらにin vitroでの癌細胞とがん関連線維芽細胞の関連を検討することとしている。またH29年度として実際にin vivoモデルを用いたCAFs細胞の腫瘍免疫抑制効果の検討、さらにH30年度最終年度では光線免疫療法を用いたCAFs治療の腫瘍免疫における効果の検討を行う予定としている。初年度であるH28年度では、切除標本を用いた検討の他、in vitroでの検討、さらに一部in vivoを用いたCAFs細胞の腫瘍免疫抑制効果についての検討も行うことができた。以上より概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度においては、当初の予定通りin vivoモデルを用いたCAFs細胞の腫瘍免疫抑制効果の検討、さらにin vitroにおいてCAFs細胞からのIL6産生による腫瘍免疫抑制への関与が強く示唆された結果をもって、IL6の腫瘍免疫抑制効果、ならびにCAFs細胞の効果を検討する予定である。またH30年度には、遠隔転移モデルを用いてCAFs細胞の光線免疫療法を用いた細胞制御における腫瘍免疫賦活効果や、Abscopal効果の検討を行う予定である。また最終年度には論文作成や論文投稿、さら成果発表などで本研究を発信する予定である。
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Research Products
(4 results)