2017 Fiscal Year Research-status Report
癌関連線維芽細胞(CAFs)の免疫抑制機構の解明と標的治療としての可能性
Project/Area Number |
16K10499
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野間 和広 岡山大学, 大学病院, 助教 (10534761)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | CAFs / esophageal cancer / TILs / tumor immunosuppression / interleukin 6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては“がん微小環境”の癌関連 線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAFs)が腫瘍内免疫抑制へどのように影響を与えているかを解析し、光線免疫抗体療 法を用いてCAFsの標的治療を行い遠隔転移など治療困難であった進行癌における革新的な治療法を開発することを目的とする。 H28年度には,食道癌における臨床病理学的な検討を行い腫瘍内のCAFs(αSMA )とTILsの相関が示されCAFsの腫瘍免疫抑制の関与が示唆された.またin vitroの検討において癌の刺激によってCAFsがIL6を過剰発現していることが解った.H29年度では以下の項目を検討した.In vivoにおいてCAFとの共培養において腫瘍内のTILsの変化が惹起されるのか,またそれにはIL6が関わっているのか検討した. 結果は,マウス由来およびヒト由来の癌細胞と線維芽細胞の組み合わせで概ねIL6の高発現を認めた.またそのことは食道癌のヒト細胞株を用いても同様な結果が得られた.さらにin vivoにおいては,IL6投与群で腫瘍の有為な増大を認め,実際の腫瘍内微小環境においてもTILsの変化を認めた.つまりIL6投与群ではCD8陽性が少なく,Treg陽性TILsが多くなり腫瘍免疫抑制状態であることが示唆された.以上のことはcolon26の大腸癌モデルだけではなく,膵癌や皮膚扁平上皮癌モデルにおいても同様に認められた.また反対にIL6の中和抗体を用いてCAFsとの共培養群に投与を行うと,腫瘍免疫が賦活化し腫瘍の縮小を認めた(P<0.05).以上を踏まえ,研究成果をまとめ論文化し米国癌研究系雑誌に投稿した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間の研究期間を設定し、初年度であるH28年度においては、食道癌の切除標本を用いた検討、さらにin vitroでの癌細胞 とがん関連線維芽細胞の関連を検討することとしている。またH29年度として実際にin vivoモデルを用いたCAFs細胞の腫瘍免疫抑制効果の検討、さらにH30年度最終年度では光線免疫療法を用いたCAFs治療の腫瘍免疫における効果の検討を行う予定としている。初年度であるH28年度では、切除標本を用いた検討の他、in vitroでの検討、さらに一部in vivoを用いたCAFs細胞の腫瘍免疫抑制効果についての検討も行うことができた。またH29年度においてはin vivoのさらなる検討を行うことができ,またそのCAFsの影響はIL6が大きな役割を果たしていることまで解った.さらに,以上のことは現段階ですでに論文化し現在米国癌研究系の雑誌に投稿した.以上より概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
H30年度には、遠隔転移モデルを用いてCAFs細胞の光線免疫療法を用いた細胞制御における腫瘍免疫賦活効果や、Abscopal効果の検討を行う予定である。また最終年度であり論文発表を完了する予定である.さらに本研究は抗IL6抗体の将来的なre-positioning治療法としても期待できるため注目も高い.従って成果発表などを行い日本のみならず海外においても本研究を発信する予定である。
|
Causes of Carryover |
試薬が予測よりも安価に購入できたため。来年度の試薬購入に当てる予定です。
|
Research Products
(5 results)