2017 Fiscal Year Research-status Report
食道癌に対する個別化治療、予後予測を可能とするN型糖鎖マーカーの検索
Project/Area Number |
16K10510
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内門 泰斗 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 特任准教授 (30464465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00418849)
喜多 芳昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30570692)
大脇 哲洋 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50322318)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
尾本 至 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (90721217)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 食道癌 / 個別化治療 / N型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,食道癌に対する化学療法,もしくは化学放射線療法前の治療効果予測および予後予測を可能とする特異度の高い糖鎖腫瘍マーカーシステムを確立するという目的のもとに研究を進めた.2年目となる本年度も,食道癌症例の治療前後での経時的な血漿の糖鎖の発現状況までのデータ集積を行った.同意の得られた化学療法・化学放射線療法を行う食道扁平上皮癌症例を対象とする.本年度の目標症例数は,昨年度が29例であったため,30例とし治療時期については,術前・術後・根治療法のいずれの治療も対象とした.治療前に得られた糖鎖発現パターンと治療を行っていく中での糖鎖発現パターン,また経過観察の中で,治療効果別に,再発症例については,糖鎖パターンを比較検討した.次にEMT関連蛋白の発現や,血中遊離癌細胞,微小転移と血漿中の糖鎖発現パターンの解析という計画のもと,治療前生検標本のEMT関連蛋白の発現や血中遊離癌細胞,またリンパ節微小転移について検討した.治療前の内視鏡検査で得られた原発巣の生検標本で,EMT関連蛋白の発現(Snail,Slug,Twist,TGF-β,N-cadherin)を免疫組織学手法で解析を行った.血中の遊離癌細胞の検出については,食道癌に対する化学療法もしくは化学放射線療法の前と終了後、手術を行った症例については、終了後にも採取し、食道癌の腫瘍マーカーであるCEA、SCCのRT-PCRの手法に基づいて検索する.切除症例のリンパ節微小転移をcytokeratin(AE1/AE3)抗体を利用した免疫組織学的手法により行った.治療前後での生検標本から,無血清培地下でEGF及びb-FGFを加えた条件下で浮揚培養してスフェア形成を試みた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標症例数30例に対して,本年度末までの到達症例数は,14例であった.術前・術後の症例は,5例で,根治療法の治療の症例は9例であった.また,治療前の内視鏡検査で得られた原発巣の生検標本で,EMT関連蛋白の発現(Snail,Slug,Twist,TGF-β,N-cadherin)を免疫組織学手法で解析を行った症例は,14例全例施行した.切除症例のリンパ節微小転移をcytokeratin(AE1/AE3)抗体を利用した免疫組織学的手法で行えた症例は,手術を行った5例に行った. 治療経過時の血中遊離癌細胞の検出について、RT-PCRを用いて血中遊離癌細胞の検出を行う予定であったが、経時的に採取することが困難であった。特に治療終了後まもなくの採血を行うことが困難であった。また、遊離癌細胞の糖鎖発現の検索が困難であった。患者さんへの協力の再度依頼と、外来への来院が抜けることがないようにシステム化する。治療前後での食道癌部分の生検からスフェア形成することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
食道癌症例の治療前後での経時的な血漿の糖鎖の発現パターンの解析において,さらに登録症例数を増やし,登録された症例の経時的糖鎖発現変化を解析し,再発の有無,予後について調査を行う.治療前の食道癌生検標本によるEMT関連蛋白の発現解析において,治療前の内視鏡検査で得られた原発巣の生検標本で,免疫組織学手法によるEMT関連蛋白の発現の解析のため、症例を追加する.治療経過時の血中遊離癌細胞の採取のための血液採取が行えるよう協力をお願いする。切除症例のリンパ節微小転移の検索については,切除症例のリンパ節微小転移は本年度と同様,免疫組織学的手法による検索を行う.さらにRT-PCRを用いて血中遊離癌細胞の検出を行う.引き続き、治療前後の食道癌生検標本からスフェア形成を試みると共に食道癌細胞株もしくは発がんモデルマウスからスフェア形成能をもつ癌幹細胞を樹立する.その糖鎖発現解析を行う.また食道癌細胞株の抗がん剤や放射線治療に対する治療抵抗株を樹立し,その糖鎖発現解析を行う.
|