2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌における Na+/H+交換輸送体阻害による新規抗癌治療法の開発
Project/Area Number |
16K10530
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
二宮 致 金沢大学, 附属病院, 准教授 (60345618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都 義浩 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20304553)
遠藤 良夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (30211783)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Na+/H+交換輸送体5 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では Na+/H+交換輸送体(NHE)のうちNHE5の大腸癌における意義を解析しNHE5特異的阻害剤を分子設計及び合成し新規抗がん治療法を開発する事を目的としている。 平成28年度の研究では、大腸癌組織における高頻度のNHE5過剰発現を確認した。またサノフィ-アベンティス社によりNHE5特異的阻害剤として開発された benzenesulfonamideをリード化合物として合成し、NHE欠損ハムスター繊維芽細胞、そのラットNHE1導入細胞およびヒトNHE5導入細胞、ラットグリオーマ細胞の親株、そのNHE5 knockdown細胞株およびヒトNHE5導入細胞、ヒト乳がん細胞およびそのNHE5 knockdown細胞、さらに食道扁平上皮がん細胞などに対する細胞増殖抑制活性を調べたが、NHE5阻害活性ならびに細胞増殖抑制効果を示さなかった。 平成29年度では amilorideをリード化合物にした阻害剤の開発を目指すこととし、amiloride の誘導体であるYS2-27-2-1およびYS2-30-1の2つの化合物を合成し、細胞増殖抑制活性およびNHE5阻害活性を検討した。その結果、YS2-27-2-1はNHE欠損ハムスター繊維芽細胞にヒトNHE5を導入した細胞に対してYS2-30-1やamilorideよりも強い増殖抑制活性を示した。amilorideに水酸基を導入したYS2-30-1では増殖抑制活性が減弱することから、増殖抑制効果には疎水性の高い構造が重要である可能性が示唆された。一方、YS2-27-2-1およびYS2-30-1 はヒトNHE5導入細胞に対するNHE5阻害実験においてamilorideよりも強いNHE5阻害活性を示すことが確認できた。さらに、同様の手法でラットNHE1導入細胞に対するNHE1阻害実験を行ったところ、YS2-27-2-1は強いNHE1阻害活性を示したが、YS2-30-1はNHE1阻害活性が減弱した。この事から、amiloride誘導体の水酸基がNHE5に対する選択性を向上させるための一つのファクターになりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年の研究においてサノフィ-アベンティス社によりNHE5特異的阻害剤として開発されたN-diaminomethylene-4-(6,8-dichloro-2-methyl-1,2,3,4-tetrahydro-isoquinoline-4-yl) benzenesulfonamideをリード化合物とすべく当該化合物を合成したが NHE5阻害活性や細胞増殖抑制効果が認められなかったため、平成29年度では、リード化合物をamylorideに変更した。その後の実験により Amyloride誘導体でのNHE5阻害活性と細胞増殖抑制活性がみられたため今後さらにNHE5阻害の特異性が高く、抗腫瘍活性が優れた阻害剤の開発を目指し、誘導体展開を実施する予定である。リード化合物の変更により当初の予定よりは進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているリード化合物に修飾を加えてより特異性と抗腫瘍活性の高い化合物を合成する。NHE5特異性や抗腫瘍効果を確認する方法は確立している。
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