2016 Fiscal Year Research-status Report
TLR7を標的にした新規癌治療法における作用機序の解明
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16K10531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上原 圭介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50467320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TLR7 / Danger signal |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症は外部刺激に対する生体反応の1つであり、炎症が癌の増殖、浸潤、転移などに関与すると報告されている。Danger signalは炎症を誘導、増強する外部からの刺激である。われわれが研究をおこなってきたTLR7はDanger signalとの関与が報告されており、本研究ではTLR7の機能阻害による抗腫瘍効果の詳細なメカニズムの解明と免疫応答への影響を明らかにし、TLR7を標的にした新規癌治療法の開発を行なう。 TLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してTLR7アゴニストであるイミキモドを投与し細胞死誘導能についてトリパンブルー色素排出試験にて検討した。イミキモド10μg/mlにて細胞死の誘導が亢進されており、HuCCT1に関しては1μg/mlにても細胞死の誘導が有意に亢進していた。ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してイミキモドを投与し増殖能についてMTTアッセイにて検討した。イミキモド1μg/mlにていずれの細胞株においても増殖抑制効果を認めた。ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してTLR7阻害剤であるODN20958でさらに増殖能に関して検討進めた。ODN20958は0.1μM、0.05μM、0.01μMで濃度上昇により増殖が亢進していた。ODN20958の有効とされる濃度は0.5μMから0.05μMであったが、それより低濃度での効果を認めた。TLR7の機能阻害が癌の増殖抑制に関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)においてTLR7アゴニストであるイミキモドにより増殖抑制効果を認めた。またTLR7阻害剤であるODN20958で濃度上昇による増殖が亢進効果を認めた。しかし運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)、足場非依存性増殖(コロニーフォーメーションアッセイ)の検討が不十分であり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞株におけるTLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してTLR7アゴニストであるイミキモドまたはODN20958を投与し、アポトーシス誘導能(TUNEL法)、運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)、足場非依存性増殖(コロニーフォーメーションアッセイ)への抗腫瘍効果を検討する。 担癌動物モデルにおけるTLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)の皮下発癌モデルへのイミキモドまたはODN20958の投与後、腫瘍体積の経時的な観察により抗腫瘍効果を検討する。腹膜播種モデルへのTLR7阻害剤の投与後、腹腔内所見、腹水中腫瘍マーカー、生存期間を検討する。肝転移モデルへのTLR7阻害剤投与の肝転移数および肝転移の腫瘍体積の変化を検討し、抗腫瘍効果について検討する。 TLR7阻害剤による抗腫瘍効果の詳細なメカニズムの解明:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)へのイミキモドまたはODN20958の投与群、非投与群に対してDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、TLR7阻害の作用機序に関連する遺伝子を同定する。 TLR7阻害剤による免疫応答の検討:大腸癌細胞株にTLR7阻害剤を投与し、Multiplexアッセイにより網羅的なサイトカインの解析を行う。Multiplexアッセイは約50種類のサイトカインの網羅的解析が可能であり、MultiplexアッセイによりTLR7阻害剤に関連する炎症系サイトカインを同定する。
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Causes of Carryover |
タンパク発現の解析を行なうウェスタンブロティングの機器が故障し、ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)におけるTLR7の発現の検討が遅れた。機器購入後、研究は再開できたが、運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)、足場非依存性増殖(コロニーフォーメーションアッセイ)の検討が年度内にできなかった。これに伴い使用予定の金額が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
癌細胞株におけるTLR7阻害剤による抗腫瘍効果の検討:ヒト大腸癌細胞株(DLD1)、ヒト膵癌細胞株(KLM1、Panc1)、胆管癌細胞株(HuCCT1)に対してTLR7アゴニストであるイミキモドまたはODN20958を投与し、アポトーシス誘導能(TUNEL法)、運動能(スクラッチアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ)、足場非依存性増殖(コロニーフォーメーションアッセイ)での抗腫瘍効果の検討に使用する。
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