2017 Fiscal Year Research-status Report
腹腔鏡拡大視効果による手術解剖を中心とした直腸局所解剖と生理学的機能評価
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16K10538
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
肥田 侯矢 京都大学, 医学研究科, 助教 (40447983)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | .直腸癌 / 大腸癌 / 機能評価 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
直腸癌術後の排尿機能、性機能、排便機能に関して、多施設共同研究を実施し、100例を超えるアンケート調査の結果を、集計した。これまで短期間の成績しか報告されてきていなかったが、2年間というこれまでにない長期のデータを解析することで、直腸癌の治療戦略の決定に寄与することが期待される。アンケートは術前から前向きに行っており、術後の変化を経時的に評価を行った。2018年の日本外科学会で、排尿機能及び排便機能の報告を行い、現在論文作成を行っている。 また、直腸癌の予後に関しては、局所再発の因子に関して解析を行い、共同研究として研究結果を報告した。下部直腸癌のみに限定した解析を行い、局所再発予測モデルを作成した。この局所再発予測モデルを用いて、別集団によるvalidationを行い、予測モデルの有用性を示し、論文報告を行った。 大腸癌の多施設共同データベースに関しては、九つの施設と共同して、共通のデータベースを使用して、統合データを作成した。今回は3年間のデータ統合を行い、2800例の大腸癌の臨床データを集計、データクリーニングを行った。データベースの効率化をはかるため、REDCapを利用したWEBデータベースを構築し、匿名化データのクラウド管理を開始した。これにより、データ精度の上昇、データ入力の簡略化、解析までの時間の短縮につながることが期待される またそのほかに大腸癌に関して、化学療法の副作用軽減について牛車腎気丸の有用性についてレビューを報告し、ステージ別のサーベイランスの有用性に関しても報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌の中でも特に直腸癌に関して、手術とその治療成績を評価していく。その中で、画像診断との関係、排尿および性機能との関係を多施設共同データベースを利用して行っていくことを研究の目標としている。 この中で、まず最初の課題として、手術と排尿機能・排便機能・性機能との関係を明らかにしていくため、前向き研究で多施設から集計されたデータについて解析を行っている。このデータを用いて、さらに予後との関係や、詳細な術式による層別解析、術前治療の有無による評価など多くの臨床的疑問が解明されていくことが期待される。また、手術術式の評価である術野の画像評価や、摘出標本の画像評価を検討していくことが今後の課題となっている。 術前の画像評価と病理結果の対比や、予後との関係、また生理機能との関係に関してはこれからの課題であり現時点ではまだ評価には至っていないが、直腸周辺の正確なMRI画像による評価を始めており、腫瘍の周囲浸潤の有無や側方リンパ節転移の有無などについて、これから症例を蓄積していき、解析検討を行っていきたいと考えている。 また、データベースに関しては、これまで各施設でそれぞれ共通のデータベースへの入力を行い、ある時点でそれらを集計して、統合データベースとしてデータの管理を行ってきたが、データ管理に要するエフォートが増大してきており、WEB化をスタートした。現在、これまでのデータベースと統合・解析を行うための準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、直腸癌術後の機能評価については、今回集計されたデータをもとにして様々な解析を行っていくことを計画している。手術術式や腫瘍位置と、術後排尿機能、性機能の関連を評価し、またその経時的変化について質的な研究も行っていく。排便機能に関しては、特に術式との関連が大きいと考えられるが、術前化学療法や放射線療法の影響も大きく、それらを複合的に検討していく必要があると考えられる。また、術後の再発の影響など腫瘍自体の進行度も含めて検討していく必要があると考えている。 画像に関しては現在MRIの撮像条件などを細かく設定し、術前診断の精度を上げていくために、放射線科診断医と共同で症例の集積を行ってきた。今後も症例を集積した上で解析を行いたいと考えている。MRIによって深達度の評価(周囲浸潤程度)、リンパ節転移の評価、手術による局所再発リスクの評価などが期待される。 データベースに関しては、消化管外科全体のWEBデータベースを作成し、多施設共同で運営していくことを最終的な目標としており、このデータベースを用いて、手術と予後の関連や、術前術後治療と予後の関連を評価していく。現時点では、まず単独施設のデータのクラウド化がスタートし、多施設共同のデータベースとして拡張を行っていく。さらに大腸癌から他のがん種(胃癌)への拡大を行っている。このデータベースを用いることで、半永続的に症例データが蓄積されていくことになり、データの精度も上昇することが期待される。
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Causes of Carryover |
機能評価については現在解析を行っている段階であり、今後論文作成等に費用がかかる。WEB化したデータベースについては、そのメンテナンスの費用と、改修作業にコストがかかるため、次年度で予算が必要となる。
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Research Products
(5 results)