2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10546
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中村 泉 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80423804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
石亀 輝英 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50583358)
野田 勝 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50769643)
横内 裕二 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60252227)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 遺伝性疾患 / FAP / 大腸ガン / 創薬モデル / ゲノム編集 / MEN2B / 一塩基置換 |
Outline of Annual Research Achievements |
FAPなどの遺伝性疾患に特異的iPS細胞を用いて創薬を行う場合、疾患の原因となる遺伝子変異以外は遺伝情報が全く同一なアイソジェニック細胞をその疾患iPS細胞から作成する必要がある。このようなアイソジェニックな正常化細胞をリバータントと呼称する。そこで我々は、別の家族性腫瘍症候群であるMEN2B 特異的iPS細胞を用いて、シンプルで効率の良いリバータントの作成法を確立した。 MEN2B (Multiple Endocrine Neoplasia 2B, 多発性内分泌腫瘍症2B型)は レセプター型キナーゼであるRET遺伝子の一塩基置換によってM918Tのアミノ酸置換が誘起され、それによりRETの恒常的活性化型タンパクが産生されることで、甲状腺髄様がんや副腎がんが生じる遺伝性疾患である。我々はこのMEN2B特異的iPS細胞FB4-14において、ゲノム編集ツールを用いたシンプルで効率の良い一塩基置換法を開発した。まずリバータントのスクリーニングに一塩基マーカーを用いる手法(One-SHOT)により、3週間でリバータントを作成する手法を開発した。さらに本法を改良することで一塩基マーカーを使用しなくてもリバータントを作成する手法(scarless One-SHOT)を開発した。この方法の開発により、疾患の原因となる変異アレル側の一塩基多型(SNV)のみを正常塩基に置換することが可能になった。傷なしのSNV修復を実施する際、既法では2回の連続した遺伝子操作が必要であるが、本法では一回の操作で済むことから、時間と費用の大幅な節約が可能になり 多能性幹細胞の遺伝子改変法として有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗状況が遅れた理由は2つある。一つ目の理由は研究者および研究補助者の雇用が不安定であることである。我々は臨床系の講座内において、企業からの寄付金や共同研究費を用いて「創薬モデル確立のためのiPS細胞の利用」ということで研究を開始した。しかし複数の研究テーマが集中することで 研究を実際に実施するメンバー(研究分担者および研究補助者)に対する負担が極めて大きかった。さらに熟練した研究補助者がパートタイマーであったため、家族の転勤の都合で期間内に2名転出してしまった。これらが主要因として設定した研究期間内に十分な成果をあげることができなかったと分析する。また二つ目の理由としては、研究開始後一年目において研究室の移転があり準備期間も含めて、半年程度実験ができなかったことが大きく影響したと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において、分担研究者一名と研究補助員一名で研究を実行している。本研究テーマを完遂するには、1. iPS細胞の大腸上皮細胞への分化プロトコルの確立、2.アイソジェニック細胞の作成、3. 疾患特異的および正常化iPS細胞由来大腸上皮細胞を用いたin vitro増殖モデルの検討が必要である。 STEP1,3は先行論文における手法を忠実に模倣することで対応可能である。STEP2は前述の通り、独自に開発したゲノム編集法で対応できる。したがって、年次計画を直ちに作成し、限られた人員でも本年度以内に成果発表できるように努力する。
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Causes of Carryover |
その理由は2つある。一つ目の理由は研究者および研究補助者の雇用が不安定であることである。我々は臨床系の講座内において、企業からの寄付金や共同研究費を用いて「創薬モデル確立のためのiPS細胞の利用」ということで研究を開始した。しかし複数の研究テーマが集中することで 研究を実際に実施するメンバー(研究分担者および研究補助者)に対する負担が極めて大き買った。さらに熟練した研究補助者はパートタイマーであるため、家族の転勤の都合で期間内に2名転出してしまった。これらが主要因として設定した研究期間内に十分な成果をあげることができなかったと分析する。また二つ目の理由としては、研究開始後一年目において研究室の移転があり準備期間も含めて、半年程度実験ができなかったことが大きく影響したと思われる。
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Research Products
(1 results)