2017 Fiscal Year Research-status Report
肝転移抑制を目指した癌細胞接着・浸潤メカニズムの解明と予防法の開発研究
Project/Area Number |
16K10562
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 匡 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00375495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 孝史 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (20633192)
小川 光一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20733637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝転移 / 微小循環 / 蛍光顕微鏡 / 肝類洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 研究室の学内移転に伴い、本年度は実験機材の再稼働及びこれまでの研究の再現性を確認することに重点をおいた。 [方法] ラット大腸癌細胞株RCN-H4を、非働化した10% FBS、ペニシリンG 100 U/ml、ストレプトマイシン100 g/mlを混和したRPMI-1640培地を用いて、37℃、CO2 5%、湿度95%の状況下で再度培養し、増殖するか確認した。また、蛍光染色による影響を検討するため、異なる濃度のRhodamine 6G(0,019~0.058%)で染色し、大腸癌細胞株の生存率を確認した。Rhodamine 6Gはミトコンドリアに取り込まれることが知られている。細胞実験室の引っ越しに伴い、生体蛍光顕微鏡の光軸がずれていたため、光軸調整を行った。ラットF344用いてラット大腸癌肝転移モデルが再現可能か検討した。 [結果] RCN―H4を再度培養すると良好に増殖した。腫瘍細胞を蛍光染色するため、Rhodamine6Gを0.019~0.058%の濃度で30分培養し細胞の生存率を測定したところ、最も濃度の高い0.058% でも細胞生存率は97%であった。ラットF344にソムノペンチル0.2mlを腹腔内投与した。その後、挿管を行い、イソルフランを人工呼吸器より投与することで全身麻酔管理とした。左内頚動脈および左外頚静脈にカテーテルをカニュレーション行った。腹部を横切開し肝臓を脱転した。クッパー細胞を染色するため、蛍光染色したリポソームをラットに投与し、さらに蛍光染色した腫瘍細胞を投与した。生体蛍光顕微鏡で観察し、蛍光染色したクッパー細胞と類洞内を流れる腫瘍細胞が確認できた。また、類洞やクッパー細胞に接着する腫瘍細胞を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究室の学内移転により再度実験機材の再構築が必要となったため。科研費分担研究者の移動に伴い、実験機材の再稼働が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
[目的] これまでの研究で肝転移モデルを作成し、生体蛍光顕微鏡で肝類洞内の癌細胞の接着部位、接着様式ならびにクッパー細胞との相互作用を視覚化することに成功した。類洞への癌細胞の接着という転移の早期段階では、クッパー細胞は転移形成を抑制することが明らかとなった。癌細胞と血小板との相互作用が癌転移を促進させるという報告がある。凝集した血小板は癌細胞の接着を安定させて浸潤の足がかりとなる可能性が示されているが、実際にどのように凝集するのか、部位、個数、類洞血流との関係を可視化して明らかとしたい。 [方法] ラット大腸癌細胞肝転移モデルにおいて、蛍光標識血小板を投与ののち、癌細胞を注入し、癌細胞ならびに血小板の接着様式、部位、分布について解析する。これにより血小板凝集と癌細胞接着との細胞動態を明らかとする。また固定標本から血小板凝集を足がかりとした肝組織内への浸潤様式を評価する。 [予想される結果] 動注した癌細胞のほとんどは類洞血流中を素通りするが、その一部はクッパー細胞の存在する部位で類洞内皮と接着することが予想される。また接着した部位には時間経過とともに血小板が集積して癌接着を安定化させることが考えられる。
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Causes of Carryover |
研究室の学内移転により再度実験機材の再構築が必要となったため。科研費分担研究者の移動に伴い、実験機材の再稼働が遅れたため次年度使用額が生じた。 次年度は、ラット大腸癌細胞肝転移モデルにおいて、蛍光標識血小板を投与ののち、癌細胞を注入し、癌細胞ならびに血小板の接着様式、部位、分布について解析する。これにより血小板凝集と癌細胞接着との細胞動態を明らかとする。また固定標本から血小板凝集を足がかりとした肝組織内への浸潤様式を評価する。癌細胞の接着した部位には時間経過とともに血小板が集積して癌接着を安定化させることが予想されるため検証したい。さらに経時的に肝組織を取り出して、血小板表面抗体であるP-selectin,α2β1 integrin、PAR-receptorについてそれぞれ発現を評価して癌細胞の相互作用を検討する。 それらのためにラットの購入、試薬などの購入をする。
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