2016 Fiscal Year Research-status Report
調節性B細胞機能解明による肝移植後個別化免疫抑制療法の開発
Project/Area Number |
16K10575
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内山 秀昭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70380425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
播本 憲史 九州大学, 大学病院, 助教 (00419582)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 助教 (90382423)
副島 雄二 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30325526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝移植 / 免疫抑制剤 / 調節性B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは 1996 年 10 月から 2015 年 9 月までに 597 例の生体肝移植および18 例の脳死肝移植の後、さらに現在2017年4月現在663例の生体肝移植を臨床的に施行してきている。また脳死肝移植は32例にまで増加し、研究を十分に推進していける体制にあります。 研究業績にあるように多くの臨床研究報告を継続しておこなっており、当科に おける肝移植後時期別死因としては1 年未満の死因としては様々な感染症 と C 型肝炎再発などの肝不全が主で あるが、1 年以降では肝細胞癌の再発や de novo 悪性腫瘍による腫瘍関連 死が約半数を占めている。以上の結果から、臓器移植後の長期予後を高めるためには可能な限りの免疫抑制剤の減量または離脱が必要と考えられる。 しかしながら免疫抑制剤減量あるいは離脱を可能とする指標は現状ではなく、拒絶反応の惹起を恐れるためほとんどの臓器移植患者が過剰免疫抑制状態にあると考えられる。これまでの移植免疫学はT細胞の解析が主であり、B細胞はT細胞の指令の下に、移植片に対する抗体産生を行う補助的役割として位置づけされてきた。しかしながら近年、自己免疫、移植免疫の分野で調節性 B 細胞の役割が注目されており、この細胞が自己免疫疾患の緩和、移植片に対する拒絶反応に対して中心的防御的役割を担っていると考えています。 現在健常者及び患者血液をリンパ球分離液で処理し、リンパ球を採取し、このリンパ球を B cell isolation kitTM を用いて調節性 B 細胞のみをフローサイトメトリーを用いて分離する手技の確立に努めています。CD24、CD27、CD19、CD38、CD25、CD71の抗体を用いてCD20+CD24hiCD38hi細胞を調節性B細胞として、まずは肝移植後3ヶ月を経過して安定した肝移植を受けた患者(レシピエント)を中心に鋭意、採血によってリンパ球の分離に努めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた調節性B細胞の同定はフローサイトメトリーで行うこととしていたが、この調節性B細胞を抗体にて同定し、分離することには、非常に熟練した実験手技が必要であることが研究の非常に大きな妨げとなっており、さらには、分離する細胞のリンパ球の割合が非常に少量であることがわかった。そのため患者血液をリンパ球分離液で処理し、リンパ球を採取し、このリンパ球を B cell isolation kitTM を用いて調節性 B 細胞のみを正確に、また研究として使用するリンパ球を分離するのにもうしばらくの時間が必要と考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅延がありますが、現在鋭意実験手技の確立に努めており、この確立を待って、以下の項目を進める予定です。 肝移植後長期免疫抑制状態にある患者の調節性 B 細胞の同定および発現率を確認し、これらの調節性 B 細胞の発現が維持している免疫抑制剤の種類によって異なるかどうかを調べる予定です。次にこれらの調節性 B 細胞を分離し in vitro での免疫調節機能(混合リンパ球培養反応抑制効果、サイトカイン発現量)を明らかにします。また、この免疫調節機能がドナー特異的であるかど うか(ドナーリンパ球に対する反応と healthy volunteer リンパ球に対する反応に差がある かどうか)を確認し、肝移植後段階的に免疫抑制剤を減量している患者において、継時的に調節性 B 細胞の発現率 の変化を調べます。研究に配分するエフォートを30%から40%ほどに上昇させることによって、研究を推進する方針です。
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