2016 Fiscal Year Research-status Report
肝切除後肝不全におけるADAMTS13の関与及び新規肝不全治療戦略の確立
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16K10580
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
野見 武男 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50570991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60316081)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ADAMTS13 / 肝切除 / VWF抗原量 / UL-VWFマルチマー発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝切除症例におけるADAMTS13の臨床的意義を明らかにすることを目的に、当科で施行した肝切除35症例において,術前・術中・術後に血液をサンプリングしADAMTS13活性,VWF抗原量,UL-VWFマルチマー発現を経時的に測定した.ADAMTS13活性,VWF抗原量はELISA法にて解析した.術中Pringle間でのADAMTS13活性,VWF抗原量の変動は見られなかったが,ADAMTS13活性は術前値60.84±23.87%と比較して術後有意に低下し,術後7日目には39.01±13.46%まで活性は低下していた(p=0.002).vWF抗原量は術前値195.43±77.74%と比較して術後有意に上昇し,術後2日目に362.45±108.06%とピークを示し,術後7日目においても338.67±120.70%と術前より高値であった(p<8826;0.001).vWF/ADAMTS13比は術前値3.62±1.91と比較して術後有意に上昇し,術後7日目には9.38±3.53まで上昇していた(p<8826;0.001).さらにUL-VWFマルチマー発現をwestern blot法にて解析した.35例を術後VWFマルチマー発現する20例とVWFマルチマー発現しない9例の2群に分けて肝切除の影響を比較検討した.VWFマルチマー発現群で術中Pringle時間が有意に長い結果(115分 vs. 75分,p=0.004)であった.以上の結果から,ADAMTS13とvWFの均衡破綻が生じることで肝切除後は血小板血栓が形成され易い環境にあることが明らかになった.さらに非常に血小板凝集能の強いとされ,病的血栓の一因となるVWFマルチマーは肝切除において出血制御のため用いられるPringle法との関連が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝切除症例におけるADAMTS13活性,VWF抗原量,UL-VWFマルチマー発現の測定が終了した.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血液サンプリングの結果から肝切除におけるPringle法とUL-VWFマルチマーの関連性が証明された.従来からPringle法は肝血流遮断を施行することで,虚血および再灌流にともなう組織障害が引き起こされるため,術後肝不全発症の一因となることが指摘されてきた.一方でUL-VWFマルチマーは主要諸臓器において微小循環障害を惹起することが知られ,肝虚血再灌流障害との関連が示唆される.この関連性を証明するため,野生型及びADAMTS13 KO マウスを用い,70%肝部分虚血モデル・70%肝切除モデルを作成し,肝組織を採取する.採取肝組織において病的血栓および微小循環障害の存在を組織学的に証明する予定である.
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