2017 Fiscal Year Research-status Report
生理活性脂質を介した自然免疫細胞間クロストークによる肝修復制御
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16K10581
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 講師 (40203187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝障害後の肝修復におけるプロスタグランジン受容体シグナルの役割を解明する目的でマウス肝虚血再灌流傷害モデルを用いた。野生型マウス(WT)とEP3欠損マウスに肝虚血再灌流をおこない、経時的に肝修復過程を検証した。その結果、肝虚血再灌流後mPGES1により産生されたPGE2は、EP3受容体シグナルを介して修復性マクロファージを集積させて肝虚血再灌流障害後の肝修復に関与することが示唆された。肝修復制御機構を解明するために、肝再生増殖因子発現(EGF, VEGFなど)を調べると野生型マウス(WT)に比較してEP3欠損マウスで発現が低下した。また骨髄由来マクロファージの関与を調べるために、骨髄キメラマウスを作成した。EP3欠損マウス骨髄キメラマウスは野生型骨髄キメラマウスよりも肝修復が遅延した。そこで、野生型マウス(WT)とEP3欠損マウスの骨髄からマクロファージを分離培養し、EP3受容体アゴニスト刺激をすると、マクロファージはEP3受容体シグナルに依存してM2マクロファージへ分化する傾向を認めた。さらに培養骨髄マクロファージをインターフェロンとサイトカインIL-4を刺激してそれぞれ、マクロファージを炎症性マクロファージならびに修復性マクロファージに分化させると、EP3受容体シグナルは炎症性マクロファージ分化を抑制する傾向を示した。EP3受容体シグナルの肝修復促進効果を検証するためにEP3受容体アゴニストを野生型マウスに投与すると、肝修復が促進された。肝修復における樹状細胞の関与を検討するために、免疫染色やフローサイトメトロリーで肝に集積する樹状細胞の経時的変化を調べた。その結果、肝修復期に一致して樹状細胞がP3受容体シグナルに依存して傷害肝に集積した。また、サイトカイン(IL-4)の肝発現がEP3欠損マウスで抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨髄細胞培養実験系の安定化と再現性を確認することに時間がかかっている。また樹状細胞には多種類のサブセットがあるため、その解析が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄培養条件をいくつか検証する。また樹状細胞のサブセットの特定にフローサイトメトリーを駆使する。そのうえで、当初の実験計画に沿って、本研究を進める。
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Causes of Carryover |
納品時期が次年度になったため。 計画書通り使用する予定である。今年度使用しなかった研究費については、一般試薬の購入に使用する。
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