2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10582
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
田中 邦哉 帝京大学, 医学部, 教授 (10295503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 憲一 帝京大学, 医学部, 講師 (10363839)
廣島 幸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (60718021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ALPPS手術 / 肝再生 / 肝再生シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
1) ラットの中葉右側のみの門脈枝を温存した90%門脈結紮モデル、ならびにこのモデルの中葉に実質切離を加えて右と左に分離し中葉右側を残存予定肝(FLR)領域とした90% ALPPSモデルを作成・樹立した。それぞれのモデルGroupで術後3,6,12,24,72および120時間でFLR領域の増大率を比較すると72時間でALPPS群がPVE群より有意に上回ることが確認された。FLR組織のWestern BlottingによりSTAT3,pSTAT3,Akt,pAktなどの肝再生シグナルの発現をコントロール群(単開腹shamモデル)および90%門脈結紮モデルと比較するとALPPS群ではより早期よりpSTAT3の発現が亢進していることを確認した。一方で、臨床症例のうち古典的2期的切除(門脈塞栓併用)とALPPS手術例を比較して再生シグナル発現を同様に検討すると、より早期に肝容量の再生が起こるALPPS手術では実験結果と同様にpSTAT3の発現が強いもののpAkt発現が極めて弱いことが確認され、以上からALPPS早期肝再生にはJak-STAT経路による肝再生シグナルが強く関与し、一方でPI3K-Akt経路が十分機能していないことが示唆された。 2) ヌードマウスの50%門脈結紮モデルならびに50% ALPPSモデルを作成し、RFP蛍光標識したHCT116大腸癌細胞をinoculateした肝転移の系を確立した。切除予定肝内の肝転移巣ならびに残存予定肝内の肝転移巣の経時的増大率をshamモデルあるいは門脈結紮モデルと比較し、門脈結紮・ALPPSモデルのいずれも残存予定肝内では早期の転移増大はなく晩期に転移増大が生じ、一方で残存予定肝内の転移巣増大率には各群で差がないことを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度中に行う予定であった肝再生シグナルの検討のうちSTAT3 inhibitorまたは PDK1 activatorなどを使用した検討までは到達できなかったものの、当初2017年度以降に行なう予定としていたヌードマウス肝転移モデルを用いたALPPSの腫瘍増殖への影響の検討にすでに着手しており順調にデータが得られている状況である。相殺してほぼ計画通り進行できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度より施行しているラットおよびマウスモデルの検討をさらに進めて、2017年度内での論文化を図る。さらに、すでに樹立したラット90%門脈結紮あるいは90%ALPPSモデル、およびマウス50%門脈結紮あるいは50% ALPPSモデルのそれぞれに対してSTAT3 inhibitor、 PDK1 activatorの投与を行い形態的肝容量、肝組織、機能変化への影響を検討する研究に着手し推進する予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ使いきりましたが、薬品などの価格、ラットなどの実験予定に伴い約6000円の残りがでました。引き続き来年度の研究費として活用いたします。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、ラットの購入、研究用の薬品購入に充てます。
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