2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10582
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田中 邦哉 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (10295503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 憲一 帝京大学, 医学部, 講師 (10363839)
廣島 幸彦 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (60718021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ALPPS手術 / 肝再生 / 門脈塞栓 / 転移性肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
(I-3)RFPで標識したヒト大腸癌細胞株(HCT116-RFP)を用いた転移性肝癌モデルを作成した。本転移性肝癌モデルに(1)50%ALPPS、(2)50%門脈塞栓、(3)単開腹を施行し、切除予定肝(DL)内、ならびに残存予定肝(FLR)内の転移巣を経時的に観察、測定した結果、門脈結紮群・ALPPS群はコントロール群と比較し、いずれもDL内では早期の転移増大はなく、晩期(Day9, 12)に有意に転移増大が生じた。一方、FLR内の転移巣の増大は、各群で有意差を認めなかった。 また、DL, FLR内のgrowth factor, cytokineの変化について、RT-PCRを用いて測定した結果、TNF-α、TGF-βはDL, FLRにいずれにおいてもALPPS群で早期(Day1)に上昇していたが、HGFはFLRにおいてのみ、ALPPS群で有意に上昇しており、HGFはFLRの肝再生に重要な役割を果たしていると考えられた。また、FLRおいて、各群で腫瘍増殖に差が認められなかった事から、肝組織中のTNF-α、TGF-β、HGFは腫瘍増殖には関与していない考えられた。一方、血清中のTNF-αは、Day1においてALPPS群、門脈塞栓群で有意に上昇しており、FLRの晩期転移巣増大に関与している可能性が示唆された。以上の論文発表した(Kikuchi et al., Eur J Surg Oncol. 2018 Jan;44(1):130-138.)。
(I-1)ラット90% ALPPSモデルを作成・樹立した。各群の電子顕微鏡所見を比較検討した結果、術後72時間のALPPS群において胞体内グリコーゲン顆粒、リポフスチン顆粒が著しく乏しく、細胞内小器官の未成熟の状態であった。これは、ALPPS手術を施行した臨床検体での電子顕微鏡所見と類似するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット90%門脈結紮あるいは90%ALPPSモデルの作成が安定しておらず、STAT3 inhibitor、PDK1 activatorを使った治療実験の着手が遅れている。 また、自験ALPPS症例で形態的容量増大と機能的容量増大が一致した症例と乖離した症例でのMicroarrayを用いた発現遺伝子解析を施行する予定であったが、サンプルが過固定状態で、抽出DNAの状態が不良であったため、臨床検体の採取、保存方法を再検討し、至適な手法で再度検体採取をやり直している。そのため、臨床検体を用いた遺伝子解析研究の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度より施行しているラットモデルの検討をさらに進めて、2018年度内での論文化を図る。すでに樹立したラット90%門脈結紮あるいは90%ALPPSモデルに対してSTAT3 inhibitor、PDK1 activatorの投与を行い形態的肝容量、肝組織、機能変化への影響を検討する研究に着手し推進する。また、自験ALPPS症例で形態的容量増大と機能的容量増大が一致した症例と乖離した症例でMicroarrayを用い、発現遺伝子違いを網羅的に解析しALPPS術後に機能的容量増大が不十分となる原因pathwayを同定していく予定である。
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Causes of Carryover |
前述のように、臨床検体を用いた網羅的遺伝子解析が施行できていないので、その費用を次年度に使用する予定である。またSTAT3 inhibitor、PDK1 activatorを用いた介入実験に着手できていないため、その費用についても次年度に使用する予定である。
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