2017 Fiscal Year Research-status Report
胆管癌癌源細胞誘導におけるYAP/TAZの役割と新規分子標的治療法の開発
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16K10589
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 重紹 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20436380)
高屋敷 吏 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456024)
久保木 知 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50571410)
清水 宏明 帝京大学, 医学部, 教授 (80272318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝内胆管癌 / EMT / 癌源細胞 / YAP / TAZ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝胆道においては何らかの障害に対して、組織幹細胞を頂点とした階層性が確立しておらず,肝胆道癌における癌源細胞も組織幹細胞由来というよりは分化した癌細胞の脱分化で誘導されている可能性がある。われわれは以前、肝内胆管癌においてgankyrinと肝前駆細胞マーカーとの関連を明らかにし,癌源細胞様の特徴を持った細胞が分化した細胞の脱分化により誘導できることを明らかにしたが、癌源細胞が誘導されるメカニズムについてはいまだ不明な点が多い。YAPとそのパラログであるTAZという転写共役因子はさまざまな癌腫において発現亢進がみられ、その発癌・進展に関与していることが報告されている。また、それらはコランジオパチーに共通して発現が上昇していることが知られている。そこで、コランジオパチーに関連して発生すると考えられる肝内胆管癌につき、癌源細胞にYAP/TAZが大きな役割を果たしている可能性を考えた。昨年度までに52例の肝内胆管癌症例についてYAP/TAZの発現を免疫組織学的に検討したところ、YAP発現を39例、TAZ発現を35例に認め、それらの外科切除後予後が有意に不良であることを明らかにした。今年度はE-cadherin, vimentin, CD34, MMP9, CD133, OV6といった前駆細胞あるいは癌源細胞の特徴を有する細胞のマーカーとYAP/TAZの発現との関連を検討し、特にYAPとの関連を見出した。すなわち、YAP発現は癌源細胞の誘導やEMTに強く関係していることが示唆される結果であった。さらに、HuCCT1やTKKKといった肝内胆管癌細胞株を用いてYAPをノックダウンするとOV6やvimentinの発現低下が、in vitroでも証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた解析では、概ね順調に進展しており、肝内胆管癌において癌源細胞の誘導・EMT促進にYAP/TAZ、特にYAPが関与している可能性を示しつつある。一方、細胞株においてもYAPのノックダウンによる細胞動態の変化を示しつつある。さらに、TEAD はYAPの機能発現に重要な転写因子であるが、それを抑制するVeteporfinを用いたin vitroの検討でもTEADが肝内胆管癌における癌源細胞の誘導やEMTに強く関係しているもとを示しつつある。しかし、一方で、癌源細胞として重要な因子であるsphere formationについてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き研究目的に沿って臨床検体および細胞株を用いて肝内胆管癌におけるYAP/TAZの発現とその役割の解析を進める。癌源細胞にこだわり、YAP/TAZの発現と癌源細胞の関係(フローサイトメトリーを用いた細胞動態など)、anoikisなどを検討したい。また、特に、in vivo動物モデルにおいて、YAP/TAZの発現と腫瘍形成能や形成された腫瘍における細胞動態についても検討をすすめたい。さらに、市販されているVeteporfinの効果についてもin vivo動物モデルにおいて検討を加え、新たな治療法になりうるか、を追求したい。
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Research Products
(7 results)