2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10591
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國料 俊男 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60378023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビサボロール / 誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビサボロールは、単環式テルペノイドの一種であり、抗刺激性・抗炎症性・抗菌性を持つことが知られている。これまで研究においてビサボロールが高い抗腫瘍効果を有していることを報告しており、今回ビサボロール誘導体を合成しその機能解析を行なった。 ビサボロール誘導体の機能解析:ヒト膵癌由来細胞株(KLM1、Panc1、KP4)にビサボロール誘導体27を投与し、増殖能についてMTTアッセイで検討した。いずれの細胞株においてもビサボロール誘導体27は未治療群と比較して有意に増殖を抑制した。KLM1、KP4は、ビサボロールと比較してビサボロール誘導体27で有意に増殖を抑制したが、Panc1では、ビサボロールとビサボロール誘導体27で有意差を認めなかった。細胞死誘導能についてトリパンブルー色素排出試験にて検討した。62.5μMのビサボロール誘導体27ではPanc1の細胞死に有意差が認められなかったが、125μMのビサボロール誘導体27ではKLM1、Panc1、KP4すべてで細胞死の誘導に有意差を認めた。またKLM1、Panc1、KP4のいずれの細胞株においても未治療群、ビサボロール投与群と比較してビサボロール誘導体27においてアポトーシスが最も誘導されていた。 担癌動物モデルを用いたビサボロールの有効性の検討:膵癌皮下発癌モデルにビサボロールおよびビサボロール誘導体を経口投与し経時的な腫瘍体積の変化を観察した。未治療群と比較してビサボロール投与群とビサボロール誘導体投与群において有意な腫瘍の増殖抑制効果を認めた。また切除標本を用いたウェスタンブロッティング法にAKTの発現を検討した。未治療群、ビサボロール投与群と比較してビサボロール誘導体投与群においてAKTの発現は減弱していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膵癌由来細胞株(KLM1、Panc1、KP4)においてビサボロール誘導体27の増殖能、細胞死、アポトーシス誘導能において、ビサボロールより有効であることを明らかにした。皮下発癌モデルにおいてもビサボロール誘導体がビサボロールとほぼ同等の抗腫瘍効果を有しテイルことを明らかにした。浸潤能、運動能等に関する検討が不十分であるがほぼ順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ビサボロール誘導体の機能解析:ヒト胆管癌由来細胞株、膵癌由来細胞株にビサボロール誘導体27を投与し、運動能についてはスクラッチアッセイ、浸潤能についてはインベーションアッセイ、足場非依存性増殖についてはコロニーフォーメーションアッセイを行う。 ビサボロール誘導体の基礎的研究:ヒト胆管癌由来細胞株へのビサボロール投与群、ビサボロール誘導体投与群に対してDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、ビサボロール誘導体の作用機序に関連する遺伝子を同定する。同定した遺伝子に関してsiRNAを作成し、これらのsiRNAを用いて増殖能、細胞死に関するスクリーニングを行う。ドライバー遺伝子が同定できなかった場合、網羅的遺伝子解析の発現比を2倍から1.5倍に変更し、対象遺伝子数を増やして行う。対象遺伝子数が多すぎる場合は、これまで行なってきたビサボロールの研究データと比較検討して進める。 ビサボロール誘導体の体内動態の検討:ビサボロールおよびビサボロール誘導体をラットに投与し、経時的に採血を行ない、血中のビサボロールを質量分析器により測定する。ビサボロール誘導体が体内で代謝され、どの程度がビサボロールに変わっているか確認する。 担癌動物モデルを用いたビサボロールの有効性の検討:先行実験にて行なったビサボロールの投与により異なる薬理作用の疑われる症状、所見を認めたため、投与法、投与量、投与回数を変更してそれらの作用に関して検討する。経口投与以外の方法として徐放性カプセルを用いて各担癌動物モデルにビサボロールおよびビサボロール誘導体の投与を行い、腫瘍径・腫瘍数,生存期間よりその増殖抑制効果を評価する。またポートを留置し経静脈的にビサボロール誘導体の投与を行い、腫瘍径・腫瘍数,生存期間よりその増殖抑制効果を評価する。
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