2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of action of a bisabolol derivative and its clinical application
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16K10591
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國料 俊男 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビサボロール / 誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビサボロール誘導体の機能解析:ヒト胆管癌由来細胞株、膵癌由来細胞株にビサボロール誘導体を投与し、運動能についてはスクラッチアッセイ、浸潤能についてはインベーションアッセイを行なった。いずれの癌細胞株においてもビサボロール誘導体により運動能および浸潤能が抑制された。 ビサボロール誘導体の基礎的研究:ヒト胆管癌由来細胞株へのビサボロール投与群、ビサボロール誘導体投与群に対してDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行なった。その結果、発現亢進および減弱している遺伝子を同定した。同定した遺伝子のうち、FAK(Focal adhesion kinase)の発現に関してウェスタンブロティングによる発現を検討した。ビサボロール投与群においてFAKの発現低下を認めた。 ビサボロール誘導体の体内動態の検討:ビサボロールをラットに投与後、採血を行ない、血中のビサボロールを質量分析器による検討を行った。ラット血清中にコントロールと同様のビサボロールのピークが確認できた。しかし、ビサボロールの測定値と血中濃度に関して定量性が不十分であり、ラット体内でビサボロールがどの程度代謝されているかを明らかにできなかった。 担癌動物モデルを用いたビサボロールの有効性の検討:ビサボロールの投与により異なる薬理作用を認めたため、投与方法の検討を行なった。経口投与以外の方法として、頸動脈よりカテーテルを挿入し経静脈的投与を行なった。経静脈的投与は可能であったが、長期間のカテーテル挿入では、漏れが生じ投与方法として不十分であった。そのためマウス皮下発癌モデルの腹腔内に徐放性カプセルを留置し、ビサボロールの投与を行なった。徐放性カプセル内のビサボロールは排出され、投与自体は問題なかった。しかし、腫瘍サイズの検討により抗腫瘍効果については十分に確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト胆管癌由来細胞株、膵癌由来細胞株においてビサボロール誘導体の運動能および浸潤能の抑制を明らかにした。ビサボロールに関連する遺伝子としてFAK(Focal adhesion kinase)を同定し、発現低下を認めた。質量分析器によるラット血清中のビサボロールを同定したが、代謝については十分に明らかにできなかった。経口投与以外の方法として、頸動脈よりカテーテルを挿入したビサボロールの経静脈的投与と腹腔内への徐放性カプセルの留置によるビサボロールの投与を行なった。ほぼ順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ビサボロール誘導体の基礎的研究:ヒト胆管癌由来細胞株へのビサボロール投与群、ビサボロール誘導体投与群に対するDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析によりFAK(Focal adhesion kinase)の発現亢進を認めた。FAKに対するsiRNAを作成し、これらのsiRNAを用いて増殖能についてはMTTアッセイ、細胞死に関してTUNEL法を行う。運動能についてはスクラッチアッセイ、浸潤能についてはインベーションアッセイ、足場非依存性増殖についてはコロニーフォーメーションアッセイを行う。ヒト胆管癌由来細胞株、膵癌由来細胞株において、FAK siRNAによるFAKの抑制後にビサボロール誘導体を投与し、増殖能についてはMTTアッセイ、細胞死に関してTUNEL法を行う。運動能についてはスクラッチアッセイ、浸潤能についてはインベーションアッセイ、足場非依存性増殖についてはコロニーフォーメーションアッセイを行ないFAKの関連性を明らかにする。関連性が確認できない場合、網羅的遺伝子解析の発現比を2倍から1.5倍に変更し、対象遺伝子数を増やして新たな関連遺伝子を同定する。対象遺伝子数が多すぎる場合は、これまで行なってきたビサボロールの研究データと比較検討する。 担癌動物モデルを用いたビサボロールの有効性の検討:ビサボロールの投与により異なる薬理作用が認められた。ラットに対して投与法、投与量、投与回数を変更してそれらの作用に関して検討する。またポートを留置し頸動脈からカテーテル挿入による経静脈的投与において、抗腫瘍効果が不十分な原因としてビサボロールの投与濃度と速度が問題と考えられた。そのため徐放性カプセルよりカテーテルを介してビサボロールの経静脈的投与を行なう。各担癌動物モデルにビサボロールおよびビサボロール誘導体の投与による腫瘍径・腫瘍数,生存期間よりその増殖抑制効果を評価する。
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