2018 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞を利用した膵液瘻発症予防・難治性膵液瘻治療法の確立
Project/Area Number |
16K10593
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅利 貞毅 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20580682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外山 博近 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (10444598)
寺井 祥雄 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30761259)
具 英成 神戸大学, 医学研究科, 名誉教授 (40195615)
後藤 直大 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40580684)
福本 巧 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70379402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵液瘻 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵切除後膵液瘻は膵切除における最も危惧される合併症のひとつであり、膵切除後、約20%以上で起こりうるとされ、膵液瘻を起因とした動脈瘤形成や動脈瘤破綻に伴う腹腔内出血は生命に関与するため、膵液瘻の抑制は膵臓外科医にとってクリアすべき課題のひとつである。いままで、様々な方法で、術後膵液瘻を抑制する取り組みが為されているが、明らかな効果は認めていない現状のなか、本研究では、膵液瘻モデルラット(膵尾部側で膵を切離)を作成したうえで、間葉系幹細胞(MSC)の組織治癒力、抗炎症作用を利用し、up cell(株式会社セルシード)を用いて、MSC細胞シートにしたうえで、術中に膵切離面にMSC細胞シートを貼付したうえで、膵液瘻の抑制効果があるか検討した。研究結果としては、MSC細胞シートを作成し、膵切離断端に貼付したラットと、貼付しなかったラットで、術後2.3.7日目の期間において、膵液瘻の評価を行った。術後7日目の状態では、いずれのラットも自然治癒にて膵液瘻は改善されており、腹水アミラーゼ値の上昇は認めなかった。術後2日目、3日目においては、貼付したラットで、腹水アミラーゼ値に有意な改善を認めたほか、腹腔内の炎症に伴う癒着も軽度であり、MSC細胞シートによる膵液瘻抑制効果を認めた。当初の予定では、この抑制効果が機械的なシートによるものか検討する予定(MSC以外のシートとMSCシートとの比較や、機能解析など)としていたが、細胞シート作成において温度管理の影響か、細胞シートの形状やサイズに再現性が乏しく、比較検討できていない状況である。引き続き、再現性のある形状、サイズを有した細胞シート作成を行いつつ、ゲル状にしてMSC細胞を貼付するなど現在、試みている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人事に伴う臨床分担業務に加え、細胞シート作成において、サイズ、形状に再現性を出すことができず、当該実験において、MSC細胞シートによる膵液瘻抑制効果は示せたものの、機械的なシートの影響か、機能的なものか、他のシートとの比較検討ができないままである。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞シート作成において、影響しそうな、温度管理や、細胞濃度などをもう一度見直し、調節したうえで、引き続き、より同等で再現性のある細胞シート作成を行っていく予定。
同時に、シートだけでなく、ゲル状にしてMSC細胞を貼付するなど、貼付する形状に工夫を加えつつ、MSC細胞の機能解析をしていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
(理由)人事に伴う臨床分担業務に加え、細胞シート作成の再現性を見いだせず、進捗が遅れた。 (使用計画)前年から繰り越した実験を継続して行いつつ、細胞シート作成に加え、ゲル状に形状をかえたうえで、再度、MSCの機能性評価を行っていく。
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