2017 Fiscal Year Research-status Report
初代培養と糖尿病マウスにおける膵癌細胞の増殖進展に対するAdipoRonの効果
Project/Area Number |
16K10594
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹永 啓三 島根大学, 医学部, 准教授 (80260256)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アディポネクチン受容体 / アゴニスト / 細胞死 / 前2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗糖尿病低分子化合物として発見されたアディポネクチン受容体アゴニストAdipoRonが膵癌細胞株の細胞死を惹起し、動物実験でも抗腫瘍効果を示すことを見出している。糖尿病と膵癌発生には密接な関連があることが示唆されていることから、AdipoRonが糖尿病の症状を軽減し、かつ膵癌の腫瘍増殖を抑制するかどうかの可能性を検討している。まず、前2型糖尿病マウスモデルB6J-DIOの作出のために、4週令のC57BL/6マウスに60 Kcal%の高脂肪食とコントロールとしての通常食の給餌を行ない、約3ヶ月後(16週令)にグルコース負荷試験と血中インスリン濃度の測定を行い、高脂肪食群において糖尿病の症状が出ていることを確認した。次に、前年度に作成したルシフェラーゼ発現マウス膵臓癌細胞Panc02-Lucを高脂肪食群とコントロール群の膵臓に同所移植し、腫瘍増殖をIVIS in vivo imagingを行うことで観察したところ、高脂肪群において有意に腫瘍増殖速度が速く、体重と腫瘍重量との間に明瞭な相関関係があることが判った。次に、Panc02細胞の細胞死を誘導しない低濃度のAdipoRonを、Panc02細胞を同所移植した高脂肪食群のマウスに腹腔内投与し、糖尿病の症状と腫瘍増殖を評価した。その結果、AdipoRon投与により若干の体重減少、グルコース負荷試験と血中インスリン濃度の測定糖尿病の症状の緩和が認められた。しかし、腫瘍の増殖にはほとんど変化がないことが判った。従って、糖尿病と腫瘍増殖には明確な相関がないことが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DIOマウスの作成に長期間を要するために、計画通の進捗がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
Panc02細胞の細胞死をin vitroで誘導する濃度に相当するAdipoRonをDIOマウスに投与し、糖尿病の症状と同所移植したPanc02細胞の増殖が抑制されるかどうかを検討する。同時に、実験のエンドポイントにおいて腫瘍組織を取り出し、EMT, CSCに対するAdipoRonの効果をEMT関連遺伝子やCSCマーカー遺伝子の発現を調べることで、細胞死以外の腫瘍増殖抑制の機序を探る。
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Causes of Carryover |
DIOマウスの作成に長期間を要し、計画していた動物実験の遂行回数が減り、マウスおよび高脂肪食およびAdipoRonの購入費用が少なくなったため。翌年度は動物実験の回数を計画的に増やすことで使用する。
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