2017 Fiscal Year Research-status Report
難治性膵臓癌に対する癌特異的p53遺伝子治療の前臨床評価
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16K10596
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田澤 大 岡山大学, 大学病院, 准教授 (90415513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / p53 / マイクロRNA / オートファジー / KRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵臓癌の悪性化に対するp53誘導性癌特異的増殖型アデノウイルスOBP-702の治療効果を検証し、p53、マイクロRNA、オートファジーの誘導を介した新しい治療戦略の確立を目指す事を目的とした。
平成29年度は、まず4種類のp53変異型ヒト膵臓癌細胞株(Capan-1、MIAPaCa-2、BxPC-3、Panc-1)の中でBxPC-3細胞とPanc-1細胞がCapan-1細胞とMIAPaCa-2細胞に比べて強い遊走能・浸潤能を示したことから、遊走能・浸潤能とKRASシグナルの関連性についてウェスタンブロット法で検討した。強い遊走能・浸潤能を示すBxPC-3細胞とPanc-1細胞はKRASの下流に存在するERKの活性化を示すリン酸化を認め、弱い遊走能・浸潤能を示すCapan-1細胞とMIAPaCa-2細胞では認めなかった。次に、KRAS-ERKシグナルの活性化が遊走能・浸潤能に関与することを証明するために、強い遊走能・浸潤能を示すBxPC-3細胞とPanc-1細胞にKRAS siRNAやERK1/2 siRNAを導入してKRASやERK1/2を特異的に抑制した場合の遊走能・浸潤能の変化を検討した。KRAS siRNAやERK1/2 siRNAの導入はBxPC-3細胞とPanc-1細胞の遊走能・浸潤能を有意に抑制し、KRAS-ERKシグナルの活性化が遊走能・浸潤能に関与する事が示唆された。さらに、強い遊走能・浸潤能を示すBxPC-3細胞とPanc-1細胞に2種類の癌特異的増殖型腫瘍融解アデノウイルス(OBP-301、p53誘導性OBP-702)を処理したところ、OBP-301はKRAS発現を抑制し、p53誘導性OBP-702はKRAS発現とERK発現を強力に抑制する事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、4種類のp53変異型ヒト膵臓癌細胞株を用いて遊走能・浸潤能にKRAS-ERKシグナルの活性化が関与する事を見出した。特に強い遊走能・浸潤能を有する2種類のp53変異型膵臓癌細胞株を用いてKRAS siRNAやERK1/2 siRNAによる特異的なKRASやERK1/2の抑制が遊走能・浸潤能を有意に抑制する事を確認した。さらに、OBP-301とp53誘導性OBP-702がKRAS発現を抑制したが、p53誘導性OBP-702だけがERK発現も抑制する事を確認した。今後、強い遊走能・浸潤能を有するヒト膵臓癌細胞株を移植した皮下腫瘍モデルや同所膵臓腫瘍モデルを用いてOBP-301やp53誘導性OBP-702の治療効果の評価が期待され、計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、強い遊走能・浸潤能を有するp53変異型ヒト膵臓癌細胞株(BxPC-3、Panc-1)をヌードマウスに移植した皮下腫瘍モデルや同所膵臓腫瘍モデルを作成し、OBP-301やp53誘導型OBP-702の抗腫瘍効果や腫瘍組織の免疫組織学的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)ウイルスによるKRAS関連シグナルの抑制効果をウェスタンブロット法で確認するために様々な種類の抗体の購入を想定していたが、予定よりも少ない種類の抗体での検討が可能となったため。 (使用計画)ヌードマウスを用いた移植腫瘍に対するウイルスの治療効果を検討する際に得られる腫瘍組織の免疫組織学的解析を行うため、関連する抗体の購入に繰り越した研究費を使用する。
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