2017 Fiscal Year Research-status Report
胆道癌・肝内胆管癌・膵癌におけるsynuclein gamma発現の意義
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16K10609
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
日比 泰造 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (10338072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Synucleinγ / 胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
慶應義塾大学病院でR0, R1切除を行った49例の肝内胆管癌(細胆管細部癌、混合型肝癌を除く)において、腫瘍境界が十分に観察し評価できる代表切片を病理専門医と選出し、作成した未染スライドを使用してγ-Synuclein(SNCG, 1H10D2, Mouse monoclonal antibody, Santa-Cruz Biotechnology)の免疫染色を施行した。腫瘍細胞に対する陽性率が10%以上の場合を陽性と判定したところ、術後検体49例中11例(22.4%)に発現を認めた。発現群と非発現群を比較したところ(χ2乗検定)と明らかな肉眼的な分類、リンパ節転移、分化度、腫瘍径、脈管侵襲、神経浸潤などの病理学的因子とは明らかな有意差を認めなかった。一方、予後解析を在院死、他病死を除いた45例で施行したところ、3年全生存率(38.9% vs 53.0%, P=0.09), 3年無再発生存率(11.1% vs 30.1%, P=0.04)と有意に再発率が高いことがわかった。 また、慶應義塾大学病院医学部 病理学教室が保有する胆道癌細胞株17種のセルブロックより作成した未染スライドを同様に免疫染色を施行すると17種中5種(29.4%)に発現を認めた。現在同細胞株から採取したmRNAをマイクロアレイにて網羅的に解析を行っており、mRNAと蛋白レベルでの発現に相関があるかどうかについて現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前に研究代表者の日比泰造が病理学教室との共同研究で行った膵癌の切除検体でγ-Synucleinを染色した際の抗体はすでに販売中止となっており、新たに購入した抗体の最適な染色条件を設定するのに時間を要した。ようやく免疫染色の手技が確立し、陽性・陰性のカットオフ値を決めるにいたり、現状として肝内胆管癌については臨床病理学的解析が施行できた。樹立した胆道癌細胞株での検討を進めている最中である。一方で肝外胆管癌、胆嚢癌については評価できていない。元々切除例が決して多くないことから過去の症例を掘り起こす必要があり、病理診断書の確認、プレパラートの確 認に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
慶應義塾大学医学部病理学教室にて保有する胆道癌細胞株のうちγ-Synucleinの発現群と非発現群の細胞株を遺伝子発現、免疫染色で確認し浸潤能および増殖能に関するアッ セイ、抗癌剤に対する感受性試験を施行し、比較する。その後は高発現群よりshRNAを使用してknock downした細胞株を用いて同様の試験を行う予定である。 また、マウスに対して本細胞株を投与したXenograft modelにおいてγ-Synucleinの発現に関して解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
上述の通り免疫染色の手技・染色態度の判定を確立するまでに時間を要したため、研究の進捗に遅れが生じ、研究費の一部を次年度に繰り越さざるを得なかったが、修正した研究計画に沿って使用していく予定である。
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