2017 Fiscal Year Research-status Report
大動脈弁石灰化モデル動物を用いた石灰化抑制機序の解明と治療法の確立
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16K10619
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大徳 和之 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (50374822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 賢一 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (20165468)
瀬谷 和彦 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40281919)
福田 幾夫 弘前大学, 医学研究科, 教授 (50344594)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マトリックスGlaタンパク質 / 大動脈弁石灰化 / 大動脈弁間質細胞 / BMP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
石灰化大動脈弁狭窄症(CAS)患者より得られた大動脈弁間質細胞(HAVICs)を用いて、異所性石灰化抑制作用を有するマトリックスGlaタンパク質(MGP)の影響について検討を行った。MGPはBMP2を阻害することで石灰化を抑制する。 MGP siRNAをトランスフェクションすることでMGP遺伝子の発現抑制を試みたところ、コントロールと比較してTNF-αのみを添加したものは有意にMGPの遺伝子発現が抑制されていた。また siRNAのみと比較し、MGPsiRNAでトランスフェクションしたものはMGP遺伝子発現が有意に抑制されていた。MGP遺伝子の強制発現した実験系では、CMV単独と比較しMGPを組み込んだCMVではMGP遺伝子の有意な発現亢進が認められた。また、CMVにTNF-αを加えたものよりもMGP/CMVにTNF-αを加えた方が有意にMGPの遺伝子発現は高まったが、TNF-α非添加のものと比較すると発現の程度は低い傾向にあった。 CAS患者のHAVICsにTNF-αを添加したものは、TNF-α非添加のコントロールと比べると石灰化の亢進を認めた。しかし、MGP遺伝子の発現抑制をするとTNF-α非添加であっても、TNF-αを添加したものよりも強い石灰化を示した。CAS患者のHAVICsにおいてMGPを強制発現させ、TNF-α誘発性石灰化およびBMP2遺伝子発現の程度を調べた。TNF-αのみを添加した場合は石灰化の亢進を認めていたが、MGP遺伝子を強制発現させたところ、TNF-αによる石灰化が著しく抑制された。 MGP遺伝子の発現抑制によってCAS患者のHAVICs石灰化が亢進し、またBMP2遺伝子発現も亢進する。MGP遺伝子の強制発現によってTNF-α誘発性石灰化およびBMP2遺伝子発現が有意に抑制させることを示唆していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大動脈弁間質細胞を用いた分子生物学的検討では、計画していたマトリックスGlaタンパク質の関与について細胞内伝達経路を明らかにすることができた。実験動物の作成については、外来草食動物であるウサギに対して、食餌による動脈硬化症モデルまたは大動脈弁石灰化モデルの作成は困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
山形大学で作成された大動脈弁狭窄症モデル(科学研究費助成事業研究成果報告書、研究課題番号22790685、研究課題名 Shear Stressによる大動脈弁石灰化機序解明に関する研究より)に従い、マウスの大動脈弁をワイヤーで傷害し、ヒト大動脈弁狭窄症を疑似した動物モデルを作成することを検討している。この動物モデルは傷害早期から炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、TGF-β)の発現が確認され、骨形成シグナルを誘導するBMP-2やRunx2の発現も確認されていることから、我々が用いている大動脈弁間質細胞の石灰化機序に類似していると思われる。来年度は動物実験に重点を起き、研究を進める予定としている。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたためであり、来年度は山形大学で作成された大動脈弁狭窄症モデル(科学研究費助成事業研究成果報告書、研究課題番号22790685、研究課題名 Shear Stressによる大動脈弁石灰化機序解明に関する研究より)に従い、マウスの大動脈弁をワイヤーで傷害し、ヒト大動脈弁狭窄症を疑似した動物モデルを作成することを検討している。この動物モデルは傷害早期から炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、TGF-β)の発現が確認され、骨形成シグナルを誘導するBMP-2やRunx2の発現も確認されていることから、我々が用いている大動脈弁間質細胞の石灰化機序に類似していると思われる。来年度は動物実験に重点を起き、研究を進める予定としている。
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Research Products
(1 results)