2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10621
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
崔 禎浩 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60312576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
川本 俊輔 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20400244)
安達 理 東北大学, 大学病院, 講師 (30375092)
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / 肺体血流比 / ピエゾ現象 / 超音波血流計 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通りポリフッ化ビニリデン(PVDF)製のトランスデューサを作製するため、PVDFで直径2mmのトランスデューサを作製した場合のシミュレーションを行ったところ、多重積層構造でないと十分な信号が発生できないことが分かった。また、十分なS/Nを確保するためには1000V程度の高電圧をかける必要があり、体内で発生させる電圧としては過剰であると考えられた。シミュレーションの結果をうけ、PVDFで今回の目的に合致する、小型血流センサーを作製するのは技術的に困難と考えた。代替素材としてはセラミックを考えたが、従来広く使用されているPZTは鉛含有セラミックであり、体内留置を行う素材としては好ましくないと考えた。そこで協力企業である本多電子が作製した非鉛セラミックを使用してのトランスデューサの作製を検討した。この非鉛セラミックで得られる音圧はPZTと遜色なく、小型化が可能であると考えたため、非鉛セラミックでのprototypeの作製を開始した。当初径2㎜の丸形のトランスデューサを作製したが、対象血管に接着する面を完全に平面化させるために電極を対側に設置する工夫を行ったところ、電極付着強度が足りず構造として困難であることが判明した。そこで2×2mmの角型のトランスデューサを設計し、金を使用してのはんだ付けを行うことで強度を確保した。トランスデューサを支える冶具に関しては、ノリル樹脂で作製し一対のトランスデューサを完全に対向させた位置で固定することにした。 このprototypeを用いて、シリコン樹脂で作製した模擬回路での測定実験を行った。トランスデューサに電圧をかけ、もう一方のトランスデューサで信号を受信させ、デジタルオシロスコープで表示させたところ良好な信号の受信が可能であった。模擬回路を定常流で循環させ、⊿tをMatLabで計算させることが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたポリフッ化ビニリデンでのトランスデューサの作製がシミュレーションの結果、困難であることが判明したため、当初の計画を見直し、新素材の選定を行う必要があった。今回協力企業である本多電子株式会社で特許取得している、非鉛セラミック素材を用いたトランスデューサの作製を検討した。まず初めに丸形で作製したが、電極のはんだ付けの強度がとれず、再度形状の変更を要した。結果一辺2mmの正方形型で作製しかつはんだ付けを金スパッタで行うことで強度を確保しえた。トランスデューサを固定する土台をノリル樹脂にて6mmの円柱状の菅腔構造物を挟み込めるように設計・作製した。このprototype作製に約1年を要した。 作製したprototypeを用いて、まずシリコン樹脂にて作製した模擬循環回路での測定実験を行った。シリコン樹脂内に水を用いて定常流を生じさせ、測定を行ったところ良好な信号受信が可能であった。しかし目的の人工血管であるePTFEを回路に組み込んで測定を行ったところ、信号受信ができなくなった。現在原因を検索中であり、動物実験へ進めておらず、計画よりやや遅れている原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところePTFE人工血管を通しての信号受信が困難である原因は、素材内のごく小さなprosityと呼ばれる構造内の気泡もしくは信号強度の問題と考えている。人工血管を水に十分浸したが、改善が得られなかったため、porsityを埋めるため、コロイド成分を有した人工血液に十分浸しての測定実験を計画している。人工血液での測定が可能であれば、当初より予定していたブタを用いた動物実験を開始する予定である。 人工血液を用いても信号が得られない場合、トランスデューサの大きさを また、現在はノリル樹脂を用いた土台を用いているが、この土台では当初の予定である、着脱可能という要件を満たせない。そこで形状記憶合金であるニチノールおよびシリコン樹脂を用いて要件にあうセンサの土台を計画中である。
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Causes of Carryover |
上記の通りトランスデューサ作製及び模擬回路実験の段階までの進捗状況であり、現時点では動物実験を施行しておらず、実験動物購入および動物実験に使用する機材の購入を行っておらず、次年度使用額が発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人工血管内の血流測定が可能になれば、改善したセンサの作製費用、実験動物(ブタ)の購入および動物実験に使用する機材購入に使用する予定である。
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