2016 Fiscal Year Research-status Report
心房細動がもたらす心房筋リモデリングとバイオマーカとしてのmicroRNAの解明
Project/Area Number |
16K10641
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤井 正大 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60297926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軸薗 智雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 研究員 (10465312)
齋藤 恒徳 日本医科大学, 医学部, 助教 (00716631)
坂本 俊一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (50398872)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 心房細動 / 左心耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで心房細動に関与するmicroRNAの研究は増えてはいるものの,病態を解明するために心房筋の線維化といった病理組織学的なリモデリング変化に着目し,分子生物学的な視点であるmicroRNAの発現を比較検討することに当該研究の意義がある. これまでmicroRNAの抽出は新鮮検体から行うことが通常の手法であったが,本学では既に甲状腺のホルマリン固定パラフィン標本からのmicroRNA抽出する手法が確立されている.この手法を左心耳検体にも応用することが当該研究の肝といえる. まず,平成28年度分の研究では手術時に得られた左心耳のホルマリン固定パラフィン標本を対象とし,RNA抽出が可能かどうか検証をした.その際,古い標本(10年以上前)と比較的新しい標本(1年前)をサンプルとして選択し,経年変化による差の有無も検討した.10μmに薄切した標本からRNA抽出キット NucleoSpin total RNA FFPE XS(タカラバイオ)を用いてRNA抽出し,吸光度測定を行った後に濃度調整し,PCRを行い比較的長いRNA(18s)が検出されることを確認した.またDNA等の混入もない状態であり,RNAの収量および質は問題ないことを確認した.これまで実施された他の組織(甲状腺など)からのRNA抽出と同一条件で行っても概ね問題はなく,またサンプルの経年変化はないことも分かった.左心耳のホルマリン固定パラフィン標本からRNA抽出に成功した報告はこれまで皆無である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心房細動を合併した弁膜症患者から手術時に得られた病理標本(ホルマリン固定パラフィン標本)である左心耳を対象とし,10μmに薄切した標本からRNA抽出キット NucleoSpin total RNA FFPE XS(タカラバイオ) を用いてRNA抽出し,吸光度測定を行った後に濃度調整し,PCRを行い比較的長いRNA(18s)が検出されることを確認した.DNA等の混入もない状態であり,RNAの収量および質は問題ないことを確認した.他の組織(甲状腺など)のRNA抽出と同一条件で行っても支障なく,またサンプルの経年変化はないことも判明した.
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Strategy for Future Research Activity |
左心耳のホルマリン固定パラフィン標本からのRNA抽出可能であることが確認されたため,まず平成29年度は研究対象リストを作成し,以下の分析を行う. ①左心耳を用いたmicroRNAの解析:心房細動を合併した弁膜症患者から手術時に得られた左心耳からレーザーmicroダイセクション(ライカ社LMD6000)を用いてRNAを抽出,7900HT Fast Real-time PCRシステム(Applied Biosystem社)を用いて網羅的かつ定量的発現プロファイル比較解析を行う.4倍以上の発現の差を認めたmicroRNA をup-regulated / down-regulatedしていると評価し,検体ごとにその発現量をリアルタイムPCRにて測定する. ②心房筋リモデリング変化の病理組織学的検討:病理組織学的診断による心房筋のリモデリング変化のうち核変形と線維化を評価しスコア化する. ③臨床情報および遠隔成績の収集:術前臨床情報を収集し,心房細動再発などの術後遠隔成績を診療録ベースで追跡する.
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Causes of Carryover |
ホルマリン固定パラフィン標本からのRNA抽出のための条件検討は、これまでの別組織での使用経験に基づいて行っても概ね問題ないことが分かったため、RNA抽出のための消耗品が抑えられた。一方で、研究対象となるサンプルの抽出が想定外に難航し、予備研究としての症例数が限定的となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当該年度の残額と合わせ、当初の計画よりも若干症例数を増やして解析を行う予定である。
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