2017 Fiscal Year Research-status Report
心房細動がもたらす心房筋リモデリングとバイオマーカとしてのmicroRNAの解明
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16K10641
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤井 正大 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60297926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軸薗 智雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 研究員 (10465312)
齋藤 恒徳 日本医科大学, 医学部, 助教 (00716631)
坂本 俊一郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50398872)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、斎藤ら(研究分担者)は心房細動患者における心房筋リモデリング変化について病理組織学的検討を行い報告している(Saito, Circ J, 2007; 71: 70-8)。当該研究は、心房筋リモデリング変化をマイクロRNAを用いて分子生物学的検討を行い、病理組織学的診断との相互解析をすることに意義がある。特に心房筋リモデリングのうちで線維化に着目する。 ①研究サンプルの抽出:本学で施行された心房細動を合併した弁膜症手術患者の中から手術時に左心耳標本が得られている症例をリストアップした。リストアップされた症例は、臨床情報(年齢・性別・体格・喫煙・糖尿病・心疾患・罹患期間・心機能・左房径・心房波高など)を収集している。 ②病理組織学的診断:齋藤らの方法に則り、線維化(fibrosis)の程度を数値化して評価した。 ③マイクロRNA解析:平成28年度の成果として実際に左心耳のホルマリン固定パラフィンブロック(FFPE)からRNA抽出が可能であることを実証した。平成29年度は、リストアップされた症例のうち18症例について、RNA抽出を行った。1)RNA抽出:当初は心筋部位の局在を検討するためにレーザーマイクロダイセクション(ライカ社LMD6000)を用いてサンプル回収を予定していたが、実際のFFPEサンプル量を検討した結果、RNA収量が低く、第一段階として左心耳全体からサンプルを回収し、NucleoSpin Total RNA FFPE(MN)を用いてRNA抽出を行った。2)RNAの定量:まずBioSpec-nano (SHIMADZU)を用いて吸光度を測定し、次にQuantiFluor RNA System(Promega)にてRNA微量定量を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
左心耳のホルマリン固定パラフィンブロック(FFPE)からRNA抽出が可能であることを実証した前年度に引き続き、平成29年度は研究対象症例のリストアップが終了し臨床学的背景や既存疾患の有無、心機能や形態学的評価が分析できた。次に病理組織的診断として心房筋リモデリングの指標として左心耳における線維化を数値化した。さらに、マイクロRNAの解析手段として、リストアップされた左心耳のFFPEからRNAを抽出し、定量化する段階まで到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って以下の通り推進していく予定。 ①網羅的解析 次世代アレイによる網羅的解析を試みる。同定された左心耳に発現しているmicroRNAと各構造的リモデリング要因と相互比較を行い、関連性を検証し妥当性・整合性を解析する。 ②同定されたmicroRNA の発現・病理組織学的診断による心房リモデリング化スコア・臨床情報および遠隔成績、以上をを総合的・包括的に検討し、心房細動患者の層別化を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) ホルマリン固定パラフィンブロックからのRNA抽出のための条件設定は、既知の他の組織検体での使用経験に基づいて実施しても概ね問題なく抽出できることは判明したため、RNA抽出のための消耗品が抑えられた。 (使用計画) 次年度は、当該年度の残額と合わせ、網羅的解析(3-5検体あたり100万円)の症例数を増やして研究を進行する予定である。
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