2016 Fiscal Year Research-status Report
虚血心筋組織特異的送達ペプチドを用いた虚血性心不全の新規治療法の開発
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16K10644
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
神吉 佐智子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40411350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 房男 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (40183719)
三重野 繁敏 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10411373)
福原 慎二 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70764984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素培養 / 心筋細胞 / 組織特異的ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血心筋組織に特異的に集積するペプチドが、どのような機序で組織特異性を発揮するのかを明らかにする方法として、培養細胞系を用いることとし、これまでの研究では in vitroで虚血状態を再現する方法を模索した。細胞として、以前から広く用いられているラット心房から単離された培養心筋細胞H9c2を用いた。今回は、その低酸素培養系において、生体と同様に細胞にペプチドの取り込みが起こるのかを確認し、受容体候補タンパク質との相互作用を検討した。H9c2にはあらかじめペプチドの受容体にあたるタンパク質の候補5つの遺伝子でそれぞれ形質転換した。この際、緑色蛍光タンパクMiCyを付加したクローニングベクターに挿入した。これを培養心筋細胞に遺伝子導入し、蛍光色素の発現で遺伝子導入を確認した。ペプチドには赤色蛍光を付加し、低酸素培養条件下でこのペプチドをH9c2に添加し、取り込まれたペプチドが細胞内で導入遺伝子と結合し、蛍光共鳴エネルギー移動が起こるものと考えた。しかし、低酸素培養条件では、赤色蛍光を付加したペプチドの取り込みが認められなかった。問題点として、培養心筋細胞では生体における虚血が再現できていないことが考えられた。このため、心筋細胞をストレッチチャンバーで培養することを試みたが、同様にペプチドの取り込みが認められなかった。次いで、培養心筋細胞に電気刺激を加えたが、これもペプチドの取り込みが認められず、現時点ではin vitro条件では生体で見られる虚血状態が再現できないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
培養細胞H9c2を用いた低酸素培養環境は作成できたが、細胞が虚血特異的ホーミングペプチドを取り込まないことが確認された。培養細胞系で細胞がペプチドを取り込まない状態では、ペプチドと受容体候補タンパク質との相互作用は確認できない。取り込まれる条件の検索が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、培養細胞H9c2を用いた虚血条件で当該ペプチドの取り込みが確認できなかったため、今後も生体での虚血環境を培養細胞系で模倣する方法を探索することと共に、ペプチドと受容体タンパク質候補との相互作用 protein-protein interactionを確認する実験を行う。収縮機構サルコメアを有する初代培養 胎児心筋細胞もしくは成熟心筋細胞を利用することを検討している。ペプチドと受容体タンパク質候補との相互作用は、細胞培養系を用いず、in vitroで確認する。この場合、Pull downアッセイ、BIACoreの利用を考え、蛍光タンパクを付加した受容体候補タンパク質を作成している。
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Causes of Carryover |
細胞培養実験を中断しているため、培地や血清の費用を次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパク質ータンパク質相互作用を確認する方法としてBIACoreを予定しており、そのチップ購入に充てる。
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