2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性心筋虚血に対する温度感応ゲル化ポリマーを担体とした脂肪細胞組織由来幹細胞治療
Project/Area Number |
16K10645
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
打田 裕明 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70736834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
伊井 正明 大阪医科大学, その他部局等, 講師 (10442922)
根本 慎太郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20237811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / サイトカイン / 血管新生因子 / 温度応答型生分解性ポリマー / ゾル-ゲル転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究目標である「脂肪幹細胞を内包したポリマーの作製と最適化」のために、マウス脂肪由来幹細胞(AdSC)をゾル-ゲル転移温度応答型生分解性インジェクタブルポリマー(IP)のプロトタイプを用いてゲル内で維持培養が可能であるかどうか検証する実験系の確立を行った。 マウス皮下脂肪組織を採取し、コラゲナーゼ処理によってAdSCを分離し、2-4継代培養させた細胞群から接着性間葉系幹細胞を分離培養しAdSCを準備した。 カプロラクトン-グリコール酸共重合体 (PCGA) とポリエチレングリコール (PEG) からなる共重合体 (PCGA-b-PEG-b-PCGA)を用い、体温に応答して物理ゲルを形成したのちに共有結合ゲルへと移行し,体内で長期間ゲル状態を維持できるIPを作成した。 種々の培養用培地を用いて調製したIP溶液にマウス由来AdSCを懸濁させた後に,37℃に加熱すると速やかにゲルを形成した。所定時間経過後のLive / Dead Assayにより細胞数や生死に与える影響を評価した。ゲル化直後の細胞計数結果から,幹細胞用培地を用いた場合に培地内IPのゾル-ゲル転移が細胞の生死に影響を与えないことを見出した。物理的に架橋したゲルの場合には内部では7日後にAdSCがほぼ全て生存している事を確認したが,細胞の増殖は観察出来なかった。一方化学的に架橋ゲルの場合では, 1日後に生細胞数が半分程度まで減少したが,その後7日目までは生細胞数が維持されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究目標「脂肪幹細胞を内包したポリマーの作製と最適化」のために、重要な要素であるマウス及びイヌAdSCの分離培養法とIPゲル内部での細胞の計数方法を確立した。また、マウスADSCのIPゲル内での生存維持培養が可能とする最適な培地を選定することによって可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
IPゲル内部でのマウスAdSCの維持培養に成功したが、本来の活性を保持しているかについては,まだ確認ができていない。平成29年度は,細胞から産生されるサイトカインなどの生理活性物質の量をRT-PCR法などにより定量し、 生体に移植した時にAdSCが治療的効果を発揮するためのゲルの最適化条件を同定、絞り込みを行う。次に、マウスで作成する心筋梗塞(急性及び慢性)モデルを用いAdSCを内包する最適化されたゲルの虚血心筋への移植治療効果を1.PBS投与群、2.ゲル投与群、3.脂肪幹細胞投与群、4.ゲル+脂肪幹細胞投与群において比較検討する。
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Causes of Carryover |
ゲル化IPポリマー内でのAdSC細胞の培養系立ち上げの段階において、容易に細胞が死滅する原因を同定するためにポリマー作成工程(架橋、ゲル化温度等)を検証と必要な変更を行った。この間にマウス脂肪組織からのAdSC抽出と培養の必要が無かったため、関連消耗品代131,972円が執行されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この残金を平成29年度の研究計画での物品購入等で執行する計画である。
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Research Products
(4 results)