2017 Fiscal Year Research-status Report
腹部大動脈瘤の病態形成における好中球細胞外トラップの役割解明と治療への応用
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16K10651
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30528469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 泰三 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00636508)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
田尻 和子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 協力研究員 (60633914)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 好中球細胞外トラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の目標は、①NETsが自然免疫活性化を介し炎症を惹起するメカニズムの証明を行なうこと②NETs形成不全によるAAAの炎症や瘤径の拡大進行に対する影響を明らかにすることである。 ①マウスの脾臓から分離した好中球にPMA刺激を加えてNETs産生を誘導し、同様に分離してきた樹状細胞またはマクロファージと共培養し、それらの細胞の活性化を培養上清中のサイトカイン産生量(IL-1β、IL-6、TNF-α)をELISA法で、細胞の活性化表面マーカー(CD80、CD86、ICAM-1)の発現をflow cytometryで評価し、どのような経路でNETsが自然免疫を活性化させているかを検討した。IL-1β、IL-6、TNF-αなどのサイトカインの上昇、CD80、CD86、ICAM-1の増加がみられた。また、樹状細胞やマクロファージにおける各種TLRをsiRNAによるノックダウン、あるいは中和抗体を用いて機能を欠失させ、どのような経路でNETsが自然免疫を活性化させているかを検討した。ノックダウンのターゲットが生体内の樹状細胞・マクロファージであるため、各種TLRに対するsiRNAによるノックダウン効果が十分に得られなかった。 ②好中球エラスターゼは好中球内でヒストンを分解し、クロマチン凝集を促進することでNETs産生に重要な働きを示し、好中球エラスターゼ欠損マウス(Elane遺伝子欠損マウス)はNETsを産生しないことが報告されている。そこでElane遺伝子欠損マウスとApoE遺伝子欠損マウスのElane/ApoE ダブルノックアウト(DKO)マウスを作製し、Elane/ApoE DKOとApoE KOマウスにAngiotensin-IIを4週間持続投与しAAAを作製し、Elane/ApoE DKOマウスは炎症が抑制されることを証明する検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ノックダウンのターゲットが生体内の樹状細胞・マクロファージであるため、各種TLRに対するsiRNAによるノックダウン効果が得られにくいため、TLR2・TLR4・TLR9の各KOマウスから細胞を採取して使用を行なって実験をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
Elane/ApoE DKOとApoE KOマウスにAngiotensin-IIを4週間持続投与しAAAを作製し、Elane/ApoE DKOマウスは、AAAの瘤径の拡大進行が抑制されることを証明する。 DNA分解酵素を腹腔内投与するとin vivoでNETs形成が抑制されることが報告されている。DNA分解酵素によるNETs阻害によりAAAの炎症反応は抑制され、瘤径の拡大進行の抑制と生存率が改善することを示し、NETsをAAAに対する新規の抗炎症薬のターゲットとしての可能性を探る。
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Causes of Carryover |
本年度に予定した実験が終了しなかったため、次年度に行なうために繰り越しました。
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