2017 Fiscal Year Research-status Report
重症虚血肢に対する老化制御遺伝子BubR1導入による革新的血管新生療法
Project/Area Number |
16K10662
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松本 拓也 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (20374168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 正 九州大学, 大学病院, その他 (00419590)
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BubR1 / 血管新生 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
“ヒトは、動脈とともに老いる;William Osler (1848-1919)” の格言のごとく老化は、血管新生を抑制しまた内皮機能をも低下させ心血管イベントを高率に発症し下肢切断をもたらす致死的な疾患の要因となる。しかし、未だ老化に対する治療法は皆無である。そこで老化に影響を与える遺伝子群の同定・解析・治療への応用は急務である。我々は、平成16年度萌芽研究、平成22~24度基盤研究(C) 、平成25~27度基盤研究(C)によって細胞周期遺伝子BubR1の低下は、老化現象を起こし、血管系においても老化の原因になることを解明してきた。(Matsumoto,et al Stroke 38: 1050-1056, 2007)(Guntani, Matsumoto,et al J Surg Res 170: 143-149, 2011)(Kyuragi, Matsumoto,et al ATVB 35: 341-347, 2015)今回は、BubR1遺伝子の低下が血管新生にどのような影響を与えるかを検討し、その結果を踏まえた老化制御に対する治療法の開発を目指す。BubR1 low expressing mouse(BubRL/L mice)と片方のBubR1 alleleを破壊したマウス( BubR1 hetero knockout mice;BubR1-/+)を交配させ、Low/null BubR1 expressing mutant(BubR1L/-)miceを作製し7回のBack crossを終了し、虚血肢モデルを作製している。野生型マウスでは、下肢虚血モデル作製後14日目では下肢の血行は保たれていたのに対し、BubR1L/-miceでは、高度虚血を認めた。下肢虚血モデル作製後の血管新生因子の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BubR1 low expressing mouse(BubRL/L mice)と片方のBubR1 alleleを破壊したマウス( BubR1 hetero knockout mice;BubR1-/+)を交配させ、Low/null BubR1 expressing mutant(BubR1L/-)miceを作製した。6-8週齢のBubR1+/+miceを用い虚血肢モデル作製後14日目で下肢の血行は保たれていた。BubR1L/-miceでは、高度虚血を認めた。40週齢でBubR1が更に低下した状態では、下肢虚血モデル作製後3日で、BubR1+/+miceは血行は保たれていたが、BubR1L/-miceではすでに下肢脱落を全例に認めた。Limb salvage scoreは、BubR1L/-miceで有意に不良であった。虚血後の血管新生因子の上昇が有意に不良であることが原因の一つと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroで大動脈平滑筋、ヒト繊維芽細胞(MRC5)、大動脈内皮細胞を用いsiRNAでBubR1を低下させ血管新生因子への影響を検討する。細胞を低酸素下状態にし、BubR1低下による各種血管新生因子(FGF2, HGF, VEGF)への影響を検討する。更には、そのsignaling pathwayを検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた老化マウスの虚血肢モデルの頭数を当該年度では終わらなかった為。また更なるメカニズム解明のため。
(使用計画)今後も継続的に週齢数によるBubR1低下の影響を見るために、各週齢数の虚血肢モデルを作製し肢への影響を見る実験を行うため、その研究に必要な試薬、動物実験等に使用する。
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