2016 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞増殖因子(HGF)による胸腹部大動脈瘤術後対麻痺治療の確立
Project/Area Number |
16K10667
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉武 明弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70327550)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩波 明生 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40327557)
志水 秀行 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50226247)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 対麻痺 / HGF |
Outline of Annual Research Achievements |
ウサギを用いての虚血性脊髄障害に対しての実験を計画をした。しかし、ウサギでは個体差が大きく、また遮断時間や体温、血圧などの他の要因による影響を受けやすい。そのため前段階としてラットを用いての脊髄障害モデルを用いて検討を始めた。ラットを用いた虚血性脊髄障害モデルは様々あるが、われわれは全身麻酔下にて開胸を行った後大動脈を鎖骨下動脈分岐部末梢にて遮断することで脊髄障害とするモデルを作成した。常温にてヘパリンを静注した後に大動脈を10分遮断したが、手術終了後対麻痺とはならず病理学的にも脊髄への障害はほとんど見られなかった。遮断時間を13分、15分と延長すると、15分遮断することで遮断解除後死亡することなく対麻痺を起こすことを確認した。また、20分の遮断では全身性のacidosisとなり術後生存はしなかった。神経学的所見を手術後、12、24、48時間、7日, 14日後の各時点において評価をした。また、それぞれの時点でウェスタンブロット法にてHGFおよびc-Metの発現を評価し、RT-PCRを用いてHGF mRNAおよびc-Met mRNAを定量化した。手術後、HE染色したのち光学顕微鏡で病理組織学的検索を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、A群, B群, C群の3群に分け、A群をcontrol群、 B群を複製不全ヘルペスウイルスベクター(HSV-1)のみ投与群, C群をHSV-HGF投与群とし、全身麻酔下、自発呼吸下にて硬膜内にB群、C群にはそれぞれ200μlのHSV-LacZおよびHSV-HGFを投与する予定であったが、現在まではコントロール群のみの実験系を行っており、今後さらにHSV-1投与群とHSV-HGF投与群で同様の実験を行い、3群比較する必要がある。 また、コントロール群に関しても個体数が少ないために今後増やしていく必要があると考える。 手術後HE染色およびNissle染色にて固定したのち光学顕微鏡で病理組織学的検索を行ない、一部の組織は固定後、電子顕微鏡でDNAのfragmentationについて検討し、Terminal dexynucleotidyltransferase(TdT)-mediated dUTP-biotin nick end-labeling(TUNEL) methodを用い、DNA fragmentation, Apoptic bodyの有無を調べ、さらに脊髄の前角におけるneuronを病理学的に壊死細胞および正常細胞に分け、それぞれの細胞数をcountし検討する予定であったが、そこまでの病理学的検討が未だできていない。 また、HGF投与に関しては、現在の予定では、全身麻酔下、自発呼吸下にて手術を行い、腹伏位にてL5/6のレベルでCSFカテーテルを硬膜内に挿入し、B群、C群にはそれぞれ200μlのHSV-LacZおよびHSV-HGFを投与するつもりであるが、虚血性の脊髄障害の範囲は非常に広範囲であることが見込まれるため注入方法や注入量に関しても検討を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
コントロール群での個体数を増やした上で、複製不全ヘルペスウイルスベクター(HSV-1)のみ投与群であるB群, HSV-HGF投与群のC群に対しても行う。手術は全身麻酔下、自発呼吸下にて手術を行なう。腹伏位とし、L5/6のレベルでCSFカテーテルを硬膜内に挿入し、Th7のレベルまで挿入する。B群、C群にはそれぞれ200μlのHSV-LacZおよびHSV-HGFを投与する。B群、C群に対してもそれぞれ投与3日目に再び全身麻酔下とし、正中切開で開胸、大動脈を鎖骨下動脈分岐部末梢にて10分間遮断する。神経学的所見を手術後、12、24、48時間、7日, 14日後の各時点において評価をする。また、それぞれの時点でウェスタンブロット法にてHGFおよびc-Metの発現を評価し、RT-PCRを用いてHGF mRNAおよびc-Met mRNAを定量化し3群間で比較する。手術後、HE染色したのち光学顕微鏡で病理組織学的検索を行い、一部の組織は固定後、電子顕微鏡でDNAのfragmentationについて検討する。TUNEL methodを用い、DNA fragmentation, Apoptic bodyの有無を調べる。 さらに、今回使用した対麻痺モデルを用いて、術後対麻痺の評価した後にHSV-HGFを硬膜内カテーテルより投与する。12、24、48時間、7日, 14日後の各時点において運動機能を評価することで、対麻痺に対するHGFの治療薬としての効果を評価する。
|
Causes of Carryover |
昨年度は、コントロール群のみの実験を行ったが、今年度は3群比較及び個体数を 増やしての実験が必要な為、本年度に残した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、より多くの実験等を行う予定の為、それに伴う実験用動物・試薬・実験器具等に使用する。
|
Research Products
(5 results)