2016 Fiscal Year Research-status Report
肺移植におけるドナー肺長時間保存法の確立ーより長時間作動PPCの模索ー
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16K10676
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90324524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外科 / 移植・再生医療 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】肺移植におけるドナー肺長期保存を可能にすべく、monophosphoryl lipid A(MPL)を用いた選択的MyD88非依存経路活性によるpharmacological preconditioning(PPC)の可能性について検討した。その結果、MPL投与後24時間でischemic PC(IPC)とほぼ同等なMyD88非依存経路の活性化が誘導され、late phase PPCの可能性を報告した。一方、IPCにはheat shock proteins(HSPs)の関与が示唆されている。そこでPPCにおいてHSPsの発現を再検討し、発現したHSPsの相違が異なるPC(early/late phase)を誘導するのかどうかを検討した。 【方法】MPL及び生食を前投与したC57BL/6Jマウスに24時間後「60分間虚血+180分間再灌流」の肺虚血再灌流障害(LIRI)を負荷し(投与群/非投与群)、肺障害(permeability index、肺胞洗浄液中の細胞数、MPO活性)に加え、MyD88/TRIF/NF-κB活性及びHSP-27/-70発現を評価した。対照として「5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+30分間再灌流+60分間虚血+180分間再灌流」のIPC+LIRIモデルを用いた(IPC群)。 【結果】MPL投与群では非投与群と比べLIRIは有意に抑制された。これらの結果はIPC群とほぼ同等であった。また、MPL投与群及びIPC群では非投与群と比較しLIRI直前でTRIF/NF-κBの有意な活性化を認めた。さらに、LIRI直前においてMPL投与群でHSP-70、IPC群でHSP-27の有意な発現を認めた。 【結語】HSP-27はearly phase PCに、HSP-70はlate phase PCに関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に明記した「平成28年度の研究実施計画」通りに概ね進行している。特に、PPCにおいて異なる分子量のHSPs(HSP-27/-70)が異なるPC(early/late-phase)を誘導するのかどうかを明らかにしたことで当初の目標はclear出来た。しかし、附帯検討項目のHSPs誘導転写因子(HSFs)の発現に関しては全く検討が行われておらず多少の遅延が危惧される。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に明記した「平成29年度の研究実施計画」どおりに研究を推進することで、研究期間内にexogenousなHSPsを用いてPPCが可能かどうかを、至適投与量やHSFs、副作用等にも加味して検討することが可能であると考える。
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Causes of Carryover |
交付申請書で設備備品費として計上したゲル画像撮影装置及びマイクロプレートリーダーは、学内共同利用施設に既設されているものを利用し平成28年度での新規購入を見合わせた。また、動物実験消耗品等も試供品等を使用することで支出が控えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度末に生物顕微鏡(位相差)は修理不可の状況となった。次年度研究計画の追加実験においても該当機器が必要のために、次年度に新規購入する予定である。
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Research Products
(2 results)