2018 Fiscal Year Research-status Report
肺移植におけるドナー肺長時間保存法の確立ーより長時間作動PPCの模索ー
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16K10676
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外科 / 移植・再生医療 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】本研究初年度(平成28年度)では、pharmacological preconditioning(PPC)におけるheat shock proteins(HSPs)の発現を再検討し、発現したHSPsの相違が異なるPC(early/late phase)を誘導するのかどうかを検討したところ、HSP-27はearly phase PCに、HSP-70はlate phase PCに関与することが示唆された。そこで、この結果を参考に、HSP-27及びHSP-70を用いてPPC が可能かどうかを、至適投与量やHSPs 誘導転写因子(HSFs)、副作用等にも加味して検討した。 【方法】C57BL/6Jマウスに複数濃度(0-10mg/kg)のrecombinant mouse HSP-27/HSP-70(rHSP27/rHSP70)を経静脈的に投与し、再度経時的に①HSP-27/HSP-70の測定、②MyD88/TRIF/NF-κB活性の測定を行い、HSP-27及びHSP-70を用いたPPCの「至適投与量の確定」を評価した。加えて犠牲死したマウスを病理解剖し、副作用等についても検討を加えた。 【結果】当初至適投与量はHSP-27で2.5mg/kg、HSP-70で5mg/kgを想定していたが、検討した全ての濃度において肺組織レベルでのHSP-27/HSP-70及びMyD88/TRIF/NF-κB活性の変化を認めなかった。経過中に死亡したマウスは認めず、また犠牲死したマウスの剖検所見で異常を認めなかった。 【考察】マウス体内で、投与したrecombinant mouse HSP-27/HSP-70が全く作用していない可能性を認めた。その原因として使用したrecombinant mouse HSP-27/HSP-70の調整に問題があり、経静脈的投与では投与直後に失活し組織移行が困難であることが判明した。そこで、リン酸化rHSP27/rHSP70(prHSP27/prHSP70)を精製・調整し経静脈的投与したところ組織移行が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度上半期に、交付申請書に明記した「平成29年度の研究実施計画《実験3》」を施行するも、想定外の結果にて投与したHSP-27/HSP-70がマウス体内で全く作用していない可能性が示唆された。平成29年度下半期より、その原因を究明すべく追加実験を行いその対策を考慮してきたが、この解決に平成30年度下半期まで時間を要したため、本研究遂行のため補助事業期間を1年延長することが必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度、《実験3》で発生した問題点における対策に目途が付いたので補助事業期間を1年程度延長し交付申請書に明記した「平成29年度の研究実施計画《実験4》」より研究を再開・推進する。
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Causes of Carryover |
平成29年度上半期に、《実験3》で発生した問題点の原因究明と対策のための経費は本研究の交付申請書では計上していなかったので、別の研究資金を充てることで支出が控えられた。
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