2016 Fiscal Year Research-status Report
酸素ナノバブルを使用した細胞培養および3次元構造物における新たな培養方法の開発
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16K10704
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武岡 陽介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (50773868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
谷口 大輔 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (20773758)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
馬場 雅之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90771957)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胸部外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、マイクロバブル、ナノバブルの概念が定着してきており、ナノバブルを精製する技術が進化しているが、医療分野で実用段階に至るまでの報告は未だあげられていない。その理由としてはその大きさからもナノバブルの実態に関して未だ不明な点が多いことが原因と考えられる。当科の所有しているナノバブル発生装置は気泡剪断法を用いて精製しており、精製後約3ヶ月経過しても約2割しか減少せず、高密度が保たれている事が証明されている。1mlあたり約10億個のナノバブルの高密度を精製できるのは日本国内では当装置のみである。また、このバブルには、酸素、窒素、二酸化炭素、オゾンなどなどさまざまな気体を封じ込めることができ、液体中に長く留めることができる。このことにより、それぞれの気体をより高濃度に、長く留めることで、その効果を高く、持続されることができる。これを用いて実用化された例として、酸素ナノバブルがある。酸素ナノバブル水を用いて育成した魚は、通常の水で育成された魚の1.5倍の大きさになることがわかっており、すでに実用化されている。 本研究では、ナノバブル発生装置で精製した高濃度酸素水を用いる事によって、魚の成長が倍増するという効果がある。これを細胞培養、組織培養に応用し、とくに人工臓器における、迅速な増殖、分化を誘導させうる新たな培養液の開発を目指している。いっぽう、ナノバブル自体の特性、及び使用した気体との相互作用は現在でも不明な点が多く、ナノバブルに使用した気体が細胞にどのような作用をもたらし、ナノバブルを含む培養液がどのような影響をもたらすのかというナノバブル含有培養液の基本的特性を検討している。また、一定の条件下で作成したナノバブル含有培養液を用いた細胞の増殖への影響に関して検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高濃度酸素ナノバブル化培養液の作成を行い、従来の培養液と高濃度酸素ナノバブル化培養液の増殖比較試験を、MTTアッセイを用いて行った。しかし、高濃度酸素ナノバブル化培養液群で線維芽細胞増殖に対しての増殖効果に一定の傾向として認められたものの有意差を認めることができなかった。この点で細胞培養、増殖促進に適したナノバブルの選択や条件を検討しなおす必要があり時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素ナノバブルに関する検討ではナノバブル含有溶液での窒素化合物の有意な上昇が認められた。窒素ナノバブルを含め、細胞増殖に対する影響を検討する方針である。また、細胞培養する際に細胞を接着しない環境に置くと、細胞同士が球状の細胞塊(Spheroid)を形成する。この現象をもちいて3次元培養することにより、細胞は2次元培養に比し、より生体に近い状態で培養することができる。この技術をもちいることで細胞は2次元培養時より生体に近い機能を発揮することができる。これは既知の技術であり、現在、薬物動態の研究などに応用されているが、今後、我々の研究でも線維芽細胞、関節軟骨細胞、平滑筋細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞を用いて作成したSpheroidに対するナノバブル含有培養液の分化、増殖等への影響を検討する方針である。
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Causes of Carryover |
間葉系幹細胞などの細胞購入や細胞培養を行う上で必要な、培地。ナノバブル生成機維持費などに必要であった。培地購入時に割引価格であったため残余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き細胞培養を行う。細胞培養に要する消耗品、生成に必要なガスの購入が必要である。
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