2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来免疫抑制細胞に着目した脳梗塞における新規炎症制御メカニズムの解明
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16K10720
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島村 宗尚 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60422317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗波 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10638555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄由来免疫抑制細胞 / 脳梗塞 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はn数を増やして、G-MDSCの脳梗塞部位での時間的、空間的発現を明らかにした。 脳梗塞半球および正常側半球について、脳梗塞5日目まで検討を行ったところ、G-MDSC(CD45+CD11b+Ly6G+Ly6ClowCD244+)細胞は3-5日目に脳梗塞部位で発現が強くなる一方で、M-MDSC(CD45+CD11b+Ly6G-Ly6Chigh)は1日目での発現がピークであった。また、骨髄細胞のG-MDSCは脳と同じ時間的発現を示していたが、脾臓での発現は、脳とは異なり、1日目より発現が増加していた。免疫染色では、CD11b+Ly6G+CD244+のG-MDSCが、脳梗塞境界領域からcoreの部分にかけて、脳実質に発現していることが認められたことから、G-MDSCが血中より脳内に浸潤した可能性と、脳実質にもともと存在していたG-MDSCが増加した可能性が示唆された。 次に、MDSCの作用を明らかにするために、MDSCの除去を試みた。申請時にはdoxorubicinによる除去を考えていたが、心機能低下への影響を再度考慮し、脾摘および癌領域での報告が多数ある5-FUでの検討を行った。まず、脾摘での検討では、脳梗塞後におけるマウスの死亡率が高く、実験の継続が難しかったため、5-FUでの検討を行った。5-FUを投与した脳梗塞マウスでは、CD45+細胞数自体が減少するが、CD45細胞に対する割合を検討すると、脳におけるG-MDSCの割合は5-FU投与後も変化が無い一方で、M-MDSCは減少していた。これに比較し、骨髄、脾臓ではいずれも減少しており、脳内のG-MDSCは骨髄、脾臓に存在する細胞とは性質が異なる可能性が示唆された。 以上から、脳におけるG-MDSCはM-MDSCとは性質が異なり、また、脾臓あるいは骨髄由来のG-MDSCとも性質が異なる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたn数を増やしたFACSでの解析を終えており、また、免疫染色についても、G-MDSCの染色に成功し、その空間的発現部位を確認できている。ただ、脳内におけるMDSCの除去については、5-FUではG-MDSCが残存している点、また、CD45細胞自体の細胞数が低下するため、MDSCの除去による脳梗塞への作用の解析は困難であり、脳におけるMDSCの機能解析には他の方法への変更が必要であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の実験結果より、MDSCを特異的に除去することは困難であることが明らかとなった。そこで、今年度はMDSCの機能については、特に、脾臓あるいは骨髄と性質が異なる可能性があるG-MDSCをcell sortingにて単離し、realtime RT-PCRにて、IL-1β、TNFα、IL-10、Arg-1, iNOS, eNOSについて解析し、脾臓と脳におけるG-MDSCの機能の差を解析する。また、脾臓細胞をCFSEにてラベリングした後に脳梗塞を作成し、脳内のG-MDSCと脾臓細胞の共局在を解析し、脳内G-MDSCの由来を明らかにする。さらに、G-MDSCの誘導因子を明らかにするため、HIF-1α阻害剤、およびTGFβ阻害剤も投与した脳梗塞組織にてFACSを行い、G-MDSCの発現の変化を明らかにする。
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