2017 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来免疫抑制細胞に着目した脳梗塞における新規炎症制御メカニズムの解明
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16K10720
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島村 宗尚 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60422317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗波 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10638555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄由来免疫抑制細胞 / 脳梗塞 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
MDSCを定義する細胞表面マーカーは確固としたものがなく、昨年度までは過去の文献(J. Leukoc. Biol. 91: 167; 2012)にしたがって、CD45+CD11b+Ly6G+Ly6lowCD244+細胞をG-MDSCとして解析していたが、2016年にMDSCについてのrecommendationが報告され(Nat Commun. 2016 6;7:12150)、CD45+CD11b+Ly6G+Ly6low細胞分画でも骨髄の同細胞と比較して、NOX2の発現が強い場合、G-MDSC like cell (G-MDSC-LC)とできるとされた。しかし、CD244については、積極的にMDSCのマーカーとしての推奨はなされていなかった。そこで本年度は、脳梗塞部位、脾臓、骨髄におけるソーティングしたCD45+CD11b+Ly6G+Ly6low細胞のNOX2の発現解析をRealtime RT-PCRにて行い、G-MDSC-LCを解析し直した。しかし、CD45+CD11b+Ly6G+Ly6low細胞数がもともと少なく、解析が困難であったため、ソーティングした細胞から効率的にRealtime PCRを行う市販キットを4種類ほど試したが、いずれも再現性のある結果を出すことが難しく、最終的に、4-5匹の脳をひとまとめにし、Cells-to-cDNA II Kitを用いることにより測定系を確立でき、解析を行った。結果として、脳梗塞3日目に脳梗塞部位に発現するCD45+CD11b+Ly6G+Ly6low細胞は、NOX2の発現量が大きく、好中球では無く、G-MDSC-LCの性質を有していることが確認できた。再度、FACSを解析し直したところ、前年度の報告と変わらず、G-MDSC-LCは脳梗塞部位に24時間から5日目にかけて、1日目をピークに発現していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD45+CD11b+Ly6G+Ly6low細胞にはG-MDSCだけでなく好中球も含まれており、その判別のためのマーカーとしてCD244が報告されていたため、実験開始時にはその論文に沿った解析を行っていたが、その後に発表されたrecommendationにてCD244は推奨されていなかったため、再度、G-MDSCの解析を行う必要が生じた。このため、当初の予定よりは遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
G-MDSC-LCが、G-MDSCであることを最終的に確認するためには、G-MDSCがT細胞の活性を抑制することを機能的に確認する必要がある。今年度は、ソーティングした細胞を培養する系の確立を目指し、培養したG-MDSCが、[3H] チミジン取り込みによるT細胞増殖を抑制できるか、あるいはELISPOTアッセイによって、IFNγの産生を抑制できるか検討を行い、機能的にもG-MDSCであることを明らかにする。さらに、HIF-Iα阻害剤およびTGFβ阻害剤を投与した脳梗塞組織にてFACSを行い、G-MDSCの発現の変化を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ソーティングした少量の細胞からのrealtime PCR用のRNA抽出の手技確立に時間を要し、当初予定していたHIF-Iα阻害剤およびTGFβ阻害剤を投与した実験を今年度中には遂行できず、次年度に実施するために繰り越しが必要である。
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